鈴鹿がJFL残留に窮地…58歳カズ「全力を尽くす」 入れ替え戦へ「まだ終わっていない」

鈴鹿が地域リーグ入れ替え戦へ
FWカズ(三浦知良、58)が所属するJFLのアトレチコ鈴鹿が、地域リーグ降格のがけっぷちに立たされた。前節まで14位の鈴鹿はリーグ最終節の23日、大分市のクラサスサッカー・ラグビー場でヴェルスパ大分と対戦。引き分ければ残留の試合に1-2と競り負け、横河武蔵野FCが勝ったため15位に転落した。カズはベンチ入りしたものの出場なし。鈴鹿は次週、全国地域チャンピオンズリーグ2位(24日に決定)との入れ替え戦に臨む。
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失った勢いは、戻ってこなかった。前節まで勝ち点は28。15位武蔵野との勝ち点差は2あった。得失点差で大きくリードし、勝ち負けでしか逆転しない状況。しかし、鈴鹿はその最悪の状況に襲われてしまった。
27節で最下位の飛鳥FCと引き分けた後、28節はいわてグルージャ盛岡に0-2で完敗。勝った方が残留となる前節のYSCC戦は、前半2点リードから後半10分間に3ゴールを許して2-3で逆転負けを喫した。「勝ち点の状況など、全員で共有しながら戦った」(山本富士雄監督)この日の試合も、悪い流れをひきずったまま3試合連続で勝ち点を1つも奪えなかった。
前半10分に元日本代表MF金崎夢生のパスからMF鈴木啓太郎に先制点を献上した。同29分にケガから復帰したゲームキャプテンのFW福元友哉が執念で同点ゴールをねじ込んだが、同39分にはMF福満隆貴にミドルシュートを決められて再びリードを許した。
後半は1点を追ったが、相手の堅守にゴールは奪えない。後半10分過ぎにはアウェーでレイラック滋賀と対戦していた武蔵野がPKで先制。チームは窮地に陥った。ベンチのカズも立ち上がって選手たちを鼓舞したが、ゴールは生まれなかった。
残留を決めるチャンスが何度もありながら、逃し続けた終盤戦だった。それでも、カズは冷静に「この試合とか、ここ何試合ではなく、1年やってきたことの結果。真摯に受け止め、もう1回チャンスがあるので全員で全力で向かいたい」と、努めて前向きに話した。
プロ40年目、最終節までリーグ戦30試合で15試合ベンチ入りした。出場は7試合で先発は1回。プレータイムは59分(アディショナルタイムを含まず)だった。それでもまだ1試合、入れ替え戦が待つ。今季の振り返りを問われると「まだ終わっていないので、終わってから。いろいろな反省、いろいろな成果があると思いますけれど、終わってからしっかりこの1年に向き合えたらと思います」と今季ラストゲームを見据えて言った。
「次の試合に向けて、いい準備をするだけ」。勝っても負けても、どんな状況でも繰り返してきた言葉を口にした。「残留できるように、全力を尽くす」。J3昇格を目指して今季に臨んだものの、目の前にあるのは東海リーグへの降格危機。チームもカズも現実を受け止め、入れ替え戦勝利だけを目指す。
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。












