北中米へまだ間に合う…森保ジャパンに食い込める5大タレント 識者が「目を引く」最もJで勢いに乗る男

川崎の伊藤達哉は公式戦で6戦連発中
来年の北中米ワールドカップ(W杯)に向けて、精力的にチーム作りを進める森保ジャパン。9月のアメリカ遠征を終えて、10月と11月の年内国内4試合でさらに強化を進めていく段階にあるが、ここから食い込んでいく可能性のあるタレントは多くいる。今回は所属クラブでの活躍やA代表で特長を生かせる可能性などを総合的に評価して、5人を厳選した。(文=河治良幸)
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まずJリーグの選手で最も注目したい一人が、サイドアタッカーの伊藤達哉(川崎フロンターレ)だ。スピードと高いドリブル技術を武器に、サイドからの切り込みやフェイントで相手の守備陣を崩すことができる。左右の両足を使い分けた突破力に加えて、得点意識も強く、決定力の高さも魅力だ。サッカーIQが非常に高く、数秒後に生じるスペースまでイメージしてプレーしているように見える点も特筆される。
サイドの選手でありながら今季J1では8得点を記録し、ルヴァン杯の準々決勝2試合を含む6戦連発中。縦に抉ってのクロスだけでなく、ボックス周辺からのフィニッシュも目を引く。東京五輪の代表候補として森保一監督の指導を受けており、2019年のトゥーロン国際では田中碧や上田綺世と一緒にプレー。現在は国内組だが、欧州でのキャリアの方が長く、昨シーズンのACLエリートで川崎フロンターレをファイナルへ導く活躍を見せた。A代表での経験こそまだないが、国際舞台での実績は十分だ。
斉藤光毅(QPR)は新たな攻撃の切り札として期待される。スピードと仕掛けの技術に優れ、カットインや縦突破など、多彩な攻撃パターンを持つ。現在はチャンピオンシップのQPRでプレーし、ゴールやアシストで着実に貢献している。パリ五輪では背番号10を背負いチームの中心を担ったが、その後はタイミングの悪い怪我などもあり、大きな目標として掲げるA代表入りを実現できていない。
森保ジャパンにおいては2シャドーが適正ポジションであり、久保建英や南野拓実、同世代の鈴木唯人ら強力なライバルが多いが、そこの競争に割ってはいる十分なポテンシャルは備えており、在籍2シーズン目となるQPRで突き抜ける活躍ができれば、A代表も現実味を帯びてくる。
森保ジャパンのFW陣に食い込める逸材
小杉啓太(ユールゴーデン)も今後の抜擢が楽しみな存在だ。対人守備の強さとポジショニングの読みを持ち味とする左サイドバックで、守備面の安定性に加え、積極的なビルドアップやオーバーラップでも存在感を発揮する。現在はスウェーデンの名門でレギュラーを務め、安定した出場を続けながら、守備はもちろんクロスや攻撃参加でも評価を高めている。
湘南の下部組織出身である小杉は元U-17日本代表キャプテンで、若くして国際経験は豊富。9月上旬のU-23アジア杯予選に続いて、9月にチリで開幕するU-20W杯のメンバーにも選出されており、そこでの活躍が欧州でのステップアップやA代表入りに直結する可能性を秘めている。Jリーグのトップチームを経験せずに欧州挑戦した選手で、これまでなかなか成功例が出ていないが、小杉が順調にA代表の主力まで駆け上がれば、前例を覆す転機にもなりうる。
FWの注目株は後藤啓介(シント=トロイデン)だ。大型ストライカーとしてゴール前での存在感が際立ち、高さを生かした空中戦に加えて、柔軟なポストプレーやタイミングの良い裏抜けも得意としている。地元クラブのジュビロ磐田から欧州に飛び立った後藤は、今夏に名門アンデルレヒトから同じベルギー1部のシント=トロイデンにレンタル移籍すると、途中出場が続く中でも2得点を記録。新天地でさっそく結果を残している。
9月のU-23アジア杯予選では、アフガニスタン戦で直接FKを決めるなど3試合で2得点をあげ、攻撃陣をけん引して大岩剛監督が率いるチームを3連勝での本大会出場に導いた。3年後のロサンゼルス五輪ではエース格として期待される逸材だが、同じくアメリカがメインステージとなる来年のW杯に向けて、上田綺世らと競う森保ジャパンのFW争いに食い込むことができれば、日本代表FW陣の将来はさらに明るくなる。
5人目にあげたいのが中島洋太朗(サンフレッチェ広島)だ。視野が広く、抜群のキープ力や大胆なスルーパスなどで攻撃を組み立てる中島は攻守の切り替えも早く、J1の上位を争う広島で、若くして抜群のバランスワークを見せている。昨シーズンから既に注目されていたが、同世代の佐藤龍之介や大関友翔がE-1選手権でA代表入りを果たす一方で、彼は今シーズン長期の怪我に泣かされている。
気がかりなのはACLエリートのメルボルン・シティ戦での負傷交代だ。昨季に続く1年間で2度目の脳震盪疑いということで、U-20W杯のメンバーからの辞退が発表された。世界の大舞台で価値を示せなかったことは残念だが、順調に回復して残りのJリーグやACLエリートで圧倒的なパフォーマンスを見せることができれば、遠藤航など欧州組がひしめく森保ジャパンのボランチに名を連ねてもおかしくない。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。




















