日本代表が「制限されていた」 英記者が指摘する”不適な役割”「疑問だった」

英記者チャーチ氏がアメリカ戦を総括
アメリカ遠征を行った日本代表は現地時間9月9日にアメリカ代表と国際親善試合で対戦し、0-2で敗れた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏が、この試合を総括した。
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ワールドカップまでおよそ9か月。実験をするのは大いに構わない。新しいアイディアを試し、経験の浅い選手たちにも本大会出場に向けたアピールの場を与えるいい機会だ。
森保一監督は、メキシコと引き分けた試合から先発メンバーをすべて入れ替えた。この10日間、アメリカへ連れて行った選手たちの中から選択肢を見極め、テストに専念している姿勢を明確に示した。
そうした文脈をたどれば、マウリシオ・ポチェッティーノ監督率いるアメリカ代表に0-2で敗れたことも、肯定的に捉えることはできる。結果は確かに重要だが、来年の本大会に向けてチームの構築段階にある日本代表にとっては必ずしも最優先というわけではない。
そうでないなら、森保監督のいくつかの決断をどう説明すればいいのだろうか。エネルギーもパーソナリティーも欠いたメキシコ戦のパフォーマンスの後では、より活力のあるプレーを期待したが、得点を生み出す姿勢はほとんど見られなかった。
むしろ、メキシコ戦以上に活力を欠く内容だった。気になったのは不適な役割を任された選手が多かったことだ。
前田大然の左ウイングバック起用がまさにいい例だ。彼はひたむきで、疲れを知らない選手で、どんなポジションでも100%の力でプレーする。彼の最大の強みは前線からのプレスをリードし、相手のDFを追いかけてミスを誘うことだ。彼はウイングバックではない。
森保監督のシステムは、選手の強みを生かせない起用が続いているように見える。メキシコ戦では三笘薫と堂安律がウイングバックを務めたが、彼らの攻撃的な本能は制限されていたのは明らかだ。
ピッチ上で最も小柄な長友佑都が3バックの左で起用されていることも疑問だった。また、藤田譲瑠チマと佐野海舟の中盤コンビもアメリカのアレックス・ゼンデハスとクリスティアン・プリシッチに対応するダイナミズムを欠いていた。
予想通り、どこか噛み合わないままの試合展開となった。今回の日本代表には、いつもの流動性が欠けていた。これまでのサムライブルーは畳み掛けるような攻撃で相手を圧倒してきたが、そのような姿はなかった。
日本は韓国に0-2の屈辱的な敗北を喫した直後のアメリカに簡単に敗れたのだ。この結果は、ポチェッティーノ監督のプレッシャーを和らげるものになった一方で、日本にとって収穫は少なかった。強いて挙げるとすれば、チームのポテンシャルを最大限に発揮するためには、選手たちの強みを生かさなければならないという現実に森保監督が気づくことくらいだろう。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)

マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。




















