侮辱ビラ問題も「土俵に立てた」 “三戦目の正直”ならずも…県内の覇権奪取へ「昇格しかない」

栃木シティGK相澤ピーターコアミが悔しがる失点シーン
J3リーグで首位に立っていた栃木シティは7月26日に行われた第22節の栃木SCとの“栃木ダービー”に0-1で敗れ、一気に3位まで順位を落とした。栃木SCとは第7節のアウェーゲームでは1-1と引き分けていたが、天皇杯の栃木県代表決定戦では0-2の完敗を喫していた。三度目の正直ならぬ、三戦目の正直を狙った栃木シティだったが、オウンゴールから先制されると、最後まで1点が遠かった。
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キャプテンマークを巻くGK相澤ピーターコアミは、「シンプルに悔しいですね。僕らの力が足りなかったことは結果に表れています。僕としてもリベンジを果たしたいと臨んだ一戦だったので、そこに対してまた同じ形で失点してしまったので、もっともっといろんなことを改善しなきゃいけない。試合の中でも逆転するチャンスがあったので、そこに対してもっと自分たちが勢いをもってやれていれば、栃木SCさんのゴールを崩せたと思うので、率直に力が足りなかったなと感じます」と、悔しがった。
天皇杯での対戦時もCKから失点をしていた相澤は「オーガナイズでの僕のミスが露呈したところを相手に突かれました。シュートを打たれたあとの対応が、パウロくん(田中パウロ淳一)がゴールカバーに入って弾いたボールが僕に当たって入ったんですけど、一発目でパウロくんより先に僕が触っていれば、そういうことはなかったのかなと思うので、打たれる時の準備の甘さも強く出たのかなと思います」と、失点シーンを反省した。GKには止めるのが、なかなか難しいシュートにも思えたが「多分、鈴木彩艶選手なら止めると思う。比較対象はデカいですが、そこと比較して上を目指してやらないとダメ」と、あくまで矢印を自分に向けた。
今年、栃木シティがJ3に昇格したことでJリーグに誕生した栃木ダービー。まだ歴史は浅いが、確実に地域には浸透していっている。前回は5月に天皇杯栃木県予選決勝で対戦。栃木シティが敗れた一戦となったが、翌日には地元の小学生たちの間で、この試合結果が話題になっていたという。
その後、栃木シティは快進撃を見せてJ3で首位に立った。そんなライバルクラブに対し、周囲の大人たちの間でも嫉妬の感情もあったのか、ダービー当日の朝には栃木シティのホームスタジアム付近に、クラブを侮辱するようなビラが張られて問題となった。
そんな栃木ダービーの認知度について、相澤は「僕はちょっと変わっていると言われるかもしれませんが」と前置きをして「うれしい気持ちがあるんです。やっぱりダービーという土俵に立てるのは、Jリーグに昇格したからですし、そこで試合に出ているからいろんな標的になることもあるので。相手のサポーターの方にも認知されたということですし、少しずつ栃木シティが上に向かっていることを実感できたので。もちろん、ああいう行為がいいとは思いませんが、『認知されるようになったんだな』という感じで朝のニュースは見ていました」と語った。
昨年までは、宇都宮でビラ配りをしても『栃木シティって何のチーム?』や『どこのチーム?』って聞かれていたという。だが、今はJ2リーグ昇格の可能性もあり、そうした声は皆無に近くなった。そのことを「僕らの中で大きな一歩」という相澤は「もちろん、勝たなきゃ意味はなかったですけどね」と言い、今は別の形で栃木SCにリベンジを考えているという。
「栃木SCさんとダービーができる機会が今シーズンはもうないので。先ほど、コールリーダーの方も『もう昇格するしか栃木の覇権を握れない』と言っていましたが、しっかりJ2に昇格することで間接的にではありますが、リベンジしたいと思います」と、ライバルクラブをJ3に置き去りにすることで、栃木のJクラブは栃木シティというイメージを強くしたいと意気込んだ。
この日、ダービーに敗れたことにより3位で中断期間を迎えることになった栃木シティだが、その守護神は中断明けにまた一回り成長したパフォーマンスを見せてくれそうだ。
(河合 拓 / Taku Kawai)





















