森保監督が手にした“実験結果”「まだ差は大きい」 現時点ではノーも…残り1年で与えた刺激

日本代表を率いる森保一監督【写真:Getty Images】
日本代表を率いる森保一監督【写真:Getty Images】

2試合を通じて6選手が代表デビューを果たした

 日本代表は6月10日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の最終戦でインドネシアと対戦し、6-0で大勝した。森保一監督は新戦力を多く呼んだ6月の活動について「個々がチームの戦術の中で、自分の良さをどれだけ出せるかということを実践してくれて、今日の勝利につながったと思います」と振り返った。

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 今回の代表活動では7選手を初招集。そのうち、負傷で離脱したMF熊坂光希を除く、6人がデビューを果たした。代表デビューとなった三戸舜介が正確なクロスで先制点をアシストを記録すれば、代表3キャップ目となった森下龍矢は逆サイドから飛び込んで代表初ゴールをマークした。指揮官は「経験の浅い選手たちを再招集、初招集させてもらった中での印象は、こんなにできるんだという所。個々の素晴らしい特徴を持っているなという印象が大きいです」と振り返った。

 だが今後も招集するかと言われれば、現時点では答えはノーと言わざるを得ない。「人にもよりますけど、まだまだこの代表で選び続けるには力をつけてもらわなければいけないという所も、練習、そして試合の中で見受けられるところもあったかなとは思います。絶対的にレギュラー、サブという所が決まっていないのが今の日本代表ですが、これまで色んなことを試せる状況を作ってくれた、中心になって結果を出してくれた選手たちとは、現時点でまだ差がある所は大きいかなと思います」。これまで最終予選を引っ張ってきたコアメンバーとの差は大きいと明かす。

 2022年のカタール大会後、三笘薫や堂安律、板倉滉ら成長を遂げた東京五輪世代が主軸となった。強力なメンバーが集まっており、若い選手たちには高い壁となってきた。前回3月の活動までに59人を招集してきとはいえ、「新戦力を試すべき」という声は、指揮官の耳にも入っていた。

「ニュートラルに見ているつもりですけど、特に東京五輪世代はずっと見てきているので、(自分の中で)凝り固まっているところがあるかもしれないと、より自分自身を疑いながら見ていくことはやっているんです。ただ僕自身は、僕らが選んでいるというよりは、彼らがずっと“選ばせるパフォーマンスを見せてくれている”と思っているので」

 だが指揮官の中にも常に迷いはあるという。「自分が東京世代を特別に見ているのか、それとも彼らがずっと認めさせて掴み取ってきているか、というのはすごく悩みますね。これはどっちなんだろうと。可能性のある選手は常に見てみたいんですけどね」と素直な思いを明かしていた。

 その“答え合わせ”が今回の6月のシリーズだった。経験の浅い選手たちのポテンシャルを確認できた上に、中心選手たちとの差も計ることができた。さらにキャプテンマークを巻いてチームを牽引した鎌田大地や久保建英のパフォーマンスを見て、今回呼ばれていないコアメンバーたちも刺激は十分受けたはずだ。オーストラリアに敗れたこと以外は、最高の結果を手にすることができた。

「若い選手たちはひとつの経験で一気に変わると思いますし、オーストラリア、そして今日の試合中でも、こんなに試合の中でトライしてやれることが増えていく、大きくなっていくんだと感じさせてもらった。最強の代表で、ポジション争いに食い込んできてくれることを大いに期待できる今回のシリーズだったかなと思います」

 W杯まで残り1年。最高の実験結果を得て、優勝へ歩みを進めていく。

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)

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