PK失敗で「今日アカンわ」も…2Aは「成長したところ」 レジェンドの姿重ねる「終わりなき旅」

北野颯太が2Aで勝利の立役者に
少しの悔しさを残しながらも、成長の感触をつかめた一戦となった。セレッソ大阪は6月1日のJ1リーグ第19節で清水エスパルスと対戦した。この試合は海外移籍を目前に控えるMF北野颯太のラストマッチに。この試合に先発出場した北野はPKを失敗したものの2アシストを記録して勝利の立役者となった。試合後には華々しい退団セレモニーが行われ、小学生時代から過ごしたクラブへの思いを涙ながらに語り、『世界の北野』への飛躍を誓った。
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試合後のミックスゾーンで北野は、「これまでお世話になったクラブだったので、最後は良い形で、できれば自分のゴールで勝たせたい思いで試合に入りました」と振り返った。この試合ではキャプテンマークを巻いたが、試合前のミーティングでMF田中駿汰から託されたことを明かした。
試合は開始早々に直接FKを決められて1点を先行される予期せぬ形でスタートした。それでも北野には見せ場が訪れる。高い位置で相手からボールを奪ったFWルーカス・フェルナンデスからパスを受け、エリア内で倒されてPKを獲得する。普段はFWラファエル・ハットンがキッカーを務めるが、「蹴りたい」と名乗りでてキッカーを譲ってもらった。しかし、渾身のシュートはGKにストップされてしまう。「PKがあったら蹴りたいと思っていたのですが…。練習します」と、北野は苦笑いした。
PKを失敗した北野を救ったのは、アンダー世代の日本代表でチームメイトだったDF髙橋仁胡だった。当時、スペイン1部FCバルセロナの下部組織に在籍していた髙橋は、日本代表になかなか馴染めなかったが、そんな時に積極的に話しかけてくれていたのが、北野だったという。北野がPKをストップされた直後のCK、髙橋は自身も驚くヘディングで、同点ゴールを決めて試合を振り出しに戻した。「本当にホッとしました。まさか、ニコに助けられるか、と。でも、本当にニコに感謝しないといけないし、すぐ追いついてくれたから助かりました」と北野は振り返る。
そこから北野は2つのアシストを記録。4-2の勝利に大きく貢献し、ラストマッチを理想的な形で終えることができた。小学生の時からC大阪で育った北野は、最後の90分間でも成長できたと胸を張る。「僕も正直(PK失敗で)『このまま崩れる』と思った。『今日アカンわ。終わった』と思った。ゴールで終わりたかったですけど、でも何とか最低限のパフォーマンスは出せた。満足はしていないですけど、そこは新たに自分の成長したところかなと」と、PKの失敗を引きずることなく、2アシストできたことに笑顔を見せた。
試合後のセレモニーでは、MF香川真司がドイツ1部ボルシア・ドルトムントへ渡る時の「終わりなき旅」が流された。「ただただ、憧れの存在。何か、一緒にしたいなと思って。たまたま真司さんと2人で一緒にいる時に『セレモニーの曲とかどうするの?』と聞かれて、その時はセレモニーをするとも思っていなかったから、『真司さんはどうしたんですか?』と聞いたら、『終わりなき旅』をかけたと言われたので。『オレと一緒だから辞めろ』と言われたんですけど」と、オールドファンには懐かしさも感じさせたセレモニーになった背景を明かした。
この試合とセレモニーを終えて、「今までは、まったく(海外のクラブへ移籍する)実感がわかなかったんですが、今はすごく楽しみ」と目を輝かせた北野。この日の試合後には、オランダ1部AZでプレーするDF毎熊晟矢と食事にも行くという。この日は対戦相手にMF乾貴士、スタンドには柿谷曜一朗の姿もあった。日本のみならず欧州でも名を広めた彼らに続くべく、いよいよ北野は海を渡る。