J3で失った出場機会→戦力外「結構やばいなと」 田中パウロ淳一が5部移籍を決めた理由

栃木シティの田中パウロ淳一【写真:徳原隆元】
栃木シティの田中パウロ淳一【写真:徳原隆元】

松本山雅を契約満了→栃木シティへ「大栗社長がすぐにJリーグに行きたいと」

 今季のJ3は、田中パウロ淳一を中心に回っている。そう言っても過言ではないほどの話題を集めるのが、昇格組ながら首位を走る栃木シティの31歳だ。ピッチ上では全12試合で5ゴール5アシストの大活躍で、2・3月度の月間MVPにも選出。さらにはインフルエンサーとしても注目される男に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全6回の1回目)

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「Jリーグに戻ったからいろいろ注目してもらえているわけなので、Jリーグという価値をすごく今感じています。栃木シティは新しいことに取り組んでいて、僕もそれで新しいことにということでTikTokやSNSに力を入れてやっていることによって、いろいろな人に見てもらえる、取り上げてもらえる機会が増えました」

 このように語った田中だが、J3の松本山雅FCに所属していた2022年11月、契約満了という事実と直面していた。事実上の戦力外通告。「結構やばいなと思って、それなりに覚悟していました」と当時を振り返る。SNSを通じて自身を売り込み話題も集めたが、新天地として選んだのは当時関東1部の栃木シティだった。

 カテゴリー的には1つ下のJFLからのオファーもあったなか、なぜ2つ下の栃木シティを選んだのか。「Jリーグをクビになったときに、Jリーグにもう1回戻るというのは計画していましたが、年齢的に考えたら、個人の昇格というのはなかなか難しいと思っていたので、チームで昇格する必要があって」と理由を語る。

「栃木シティの環境を見ればすぐ上がるだろうと思ったし、大栗崇司社長がすぐにJリーグに行きたいというマインドだったので。地域リーグでそれを言う人ってあまりいないというか、現実味がないのでいないんですけど。リーダーがそういうマインドを持っていたので、僕はすぐ行くだろうなとは思っていました」

 最初にオファーをもらった栃木シティへの移籍は、2023年2月3日に発表された。「家族もいたので、簡単に決められなかった」と言うが、熱意に心を動かされた。「過酷な試合を勝ち進まなくてはいけないので怪我する覚悟もあったし、怪我してでも精一杯力を出せばいけるという気持ちはありました」と話す。

 そう思えたのは、田中が自信を失っていなかったからだ。「試合に出られなかったのは、チームと合わなかっただけだと思っていたので。個人的には勝っていると思っていたし、今もそれを証明しようと思っています。どれだけ良いチームに行っても試合に出られなければ意味ないと感じました」と力を込める。

「それを考えたときに栃木シティは環境面も揃っていて、攻撃的でなおかつ、自分が求めているような新しいものに取り組んでいるのはすごく感じました。自分にすごく合うという意味で栃木シティを選びましたが、そこですね。自分が合うところを見つける必要は絶対あるなって感じました」

 ピッチ上でもインフルエンサーとしても、輝く場所を見つけた田中の快進撃はとどまることを知らない。2023年には関東1部からJFLへ、昨季はJFLからJ3への昇格に貢献。TikTokでは「彼女シリーズ」が大バズりし、名前は瞬く間に知れ渡った。このままの勢いでJ2昇格まで掴み取るのか、今後も目が離せない。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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