日本から異国の父へ…カメラに一言「アイラブユー」 初ゴール後に見せた”振る舞い”の裏側

来日後初ゴールを決めたデニス・ヒュメット【写真:柳瀬心祐】
来日後初ゴールを決めたデニス・ヒュメット【写真:柳瀬心祐】

G大阪の助っ人FWヒュメットが待ちに待った初ゴール

 ついに目覚めの時だ。ガンバ大阪は4月29日、J1リーグ第13節で京都サンガF.C.と対戦して、2-1で勝利。3試合ぶりの白星に導いたのは1ゴール1アシストのFWデニス・ヒュメットと、先制ゴールを決めたFW宇佐美貴史の新コンビだった。ヒュメットは加入後8試合目で念願の初得点。ユニフォームを脱いで喜びを爆発させ、自身の“ヒーロー”バットマンのパフォーマンスを披露した。そして、カメラに向かって発した一言。その言葉には異国で暮らす家族へ大切なメッセージが込められていたーー。

「アイラブユー」

 カウンターから1人で持ち込んだシュートがネットを揺らした。1点リードの前半27分、自陣で宇佐美がボールを奪うとパスはヒュメットの元へ。1度、宇佐美に預けてから再び受けると左サイドを切り裂いて自身で決め切った。喜びを爆発させて思わずユニフォームを脱ぐ。「バッドマン」のパフォーマンスを披露したヒュメットがカメラを指差して叫んだ。その言葉が「アイラブユー」だった。

「自分はガンバにいる選手で、ガンバの中でこのようにプレーできて、もちろんガンバのために残るし、ガンバのためにプレーするのは間違いない。ただ、その反面やっぱり家族の健康上の問題とか、色々な問題が本当に遠いところで起きるというとやっぱり悲しみというのは感じる」

 実は現在ヒュメットの父が体調不良。ヒュメット本人も気に病んでいた。「ただ、でも自分もそういうような状況も乗り越えないといけないと思う。今日、自分の父にも届けられたのかなという風に思っています」。カメラ越しに伝えたのは異国で奮闘する父、兄弟へ向けての愛だった。

 ここまで、加入後8試合では先発が3試合目。ベンチを温めて終わる日もあれば、途中からの短い時間で結果を求められる時もあった。目にみえる数字を出せず、チームメイトも“生かし方”を完全に掴みきれずにいた。この日は宇佐美との縦関係で良いコンビネーションを見せ、2人の力が集結して生み出した2ゴールだった。

「その日は必ず来るよいうのは信じていたし、わかっていた。そのためにずっと練習をしてきた。このような形で自分の初ゴールというのをホーム、パナスタで、ホームのサポーターの前で決められたというのは非常に嬉しい」

 スウェーデンからやってきたトルコ人の189cm長身助っ人。家族の思いを背負い、青黒を身に纏ったヒュメットはより一層大きく、逞しく見えた。

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