「春の珍事と言われないよう」 首位・京都が進む新たな道…曺貴裁監督が積み上げた5年の自信

横浜FCに勝利を収めて、首位をキープ
クラブ史上初のJ1で首位に立つ京都サンガF.C.が4月25日、リーグ第12節横浜FC戦で2-1の勝利を収め、1位を守った。FW原大智が13試合目で左足を振り抜く一撃で今季初ゴール。曺貴裁監督も「勢いが出る」と大絶賛した。“取るべき人”、献身性のある191センチFWに得点が生まれてキープした順位表のトップ。指揮官は「無欲で戦うのではなく欲を出して上を狙っていく」と、京都が進む新たなステップに手応えを得た。
長く、もがいた時間が一振りで報われた。前半15分、GKから右サイドで繋ぎ、MF松田天馬の落としを拾ったのが原だった。ここまで12試合でノーゴール。その鬱憤を晴らすかのような強烈な左足シュートを突き刺した。
「いい落としをしてくれたので、うまくスペース、シュートコースが見えたので思い切って打てて良かったと思います。(13試合目で今季初ゴールは)そうですね、長かったけど実力というか。ゴールできていなかったのはそう感じていますし、ここから感覚を思い出してゴールできたらいいなと思います」
前節、クラブ史上初めてJ1で首位に立ち、臨んだ一戦。前半から横浜FCの勢いを受ける形となったが、今の京都は焦らない。我慢し、我慢し、チャンスをうかがう。臨機応変な戦い方で、ここまで勝ち点を積み重ねてきた。原の先制点から後半の立ち上がりに追いつかれても、同25分に途中出場のMF奥川雅也が2戦連発で勝ち越し。首位らしく、堂々と戦い抜いて勝ち点3を掴み取った。
昇格して4シーズン目。J1の舞台は茨の道だった。それでも信じて積み重ね、残留してきた。曺貴裁監督は「こういう状況を無欲で戦うのではなくて、欲を出して上を狙っていくチームになってきたという手応えを感じている」と話した。胸を張ってチャンピオンを、タイトル獲得を目指している。
指揮官は首位を「本当になんとも思っていない」という。ただこの順位は偶然ではない。監督が就任して5年目、特別なことではない。チーム全員が一瞬の判断に自信を持てるようになった。「京都というチームが今の順位にいることが当たり前と思ってもらえるようにしていきたい。春の珍事と言われないように」。古都に吹く風に乗り、チームは一戦一戦を見つめる。