ACLE制覇へ助っ人参戦「本当に心強い」 集中開催も…いつもと変わらぬ準備「成否の鍵を握る」【インタビュー】

【ACLE最終決戦カウントダウン】ファイナルズへの準備
「日本サッカーを共に盛り上げる」を今年からコンセプトに掲げる「FOOTBALL ZONE」では、クラブや選手の魅力を“深掘り”する「ZONE的Jクラブの深層」を掲載。今回は、「ACLE最終決戦カウントダウン」と題し、現地時間4月25日から5月3日かけて行われるAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2024/25ファイナルズに向けた特別企画として、横浜F・マリノスのチームマネージャーを務める鈴木彩貴氏を直撃した。絶対に負けられない戦いへ、チームの準備に迫った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治/全3回の2回目)
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
◇ ◇ ◇
アジアの頂点を巡る戦いが、刻一刻と迫っている。日本を代表し、横浜F・マリノスとしての伝統とプライドを懸けて戦う以上、ありとあらゆるケースを想定し最善の準備をもって決戦に臨まなければならない。
これから始まる準々決勝以降は、サウジアラビアでの集中開催。決勝まで進めば最大9日間を現地で戦い抜くことになる。そもそも、集中開催という特別なレギュレーションに限らず、クラブにとっての日常であるJリーグと国際大会とでチームの準備にどのような違いがあるのか。鈴木彩貴氏はこの疑問について、「基本的に国内リーグ戦と国際大会とでチームの準備が特別に変わることはありません」と一言。理由は、「普段の環境や状況」をいかに維持できるかがパフォーマンス発揮のポイントになるからだという。
「サウジアラビアでの集中開催だからといって、あえて何か特別なことはしないでしょう。国内のアウェー戦と同じ環境をいかに作れるかに心を砕きますし、そこが勝つためのポイントになるはずです。特別な準備というよりも、どれだけスムーズに物事が進み、その状況下でチームが戦えるかが大会の成否の鍵を握ると思います」
それゆえ、現地入りする前には視察での入念な確認がマストになる。宿泊先のシャワーの水圧といった細かな点をはじめ、施設周辺の治安音、現地シェフに食事の調理を依頼する場合、日本食材を使ってくれるのか、味付けを日本人好みのものにしてくれるのかなど確認項目は多岐にわたる。
「宿泊先が現地の一流ホテルだったとしても、我々が望む食事や環境が整っているとは限りません。現地視察での確認項目が非常に細かなものになっているのは、クラブがこれまでのアジアの戦いで経験やノウハウを蓄積させてきた結果ですし、それが機能していると感じます。僕自身、視察にあたっては過去の資料を読み漁って何がポイントになるのかを予測・分析します」
日本代表の元専属シェフがファイナルズをサポート
サッカーの国際大会といえば、これまで日本代表の公式SNSなどで食事の様子が注目され話題になってきた。選手のパフォーマンスを支える原動力と呼べる食事の準備はどうしているのだろう。
「現地に日本の食料品店があれば、そこで食材を調達します。現地調達が基本なので、日本から食料が届かなかったというトラブルを心配する必要はありません。そのため、食事に関しても視察の際に、お米の種類やうどん、調味料があるかなどもチェックするようにしています」
とはいえ、食事へのこだわりが強い選手もいるはずだ。どうしているのか。
「もちろん、食事に強いこだわりがある選手はいます。ただ、滞在先で試合前に出す食事について、うどんや餅、おにぎりといったメニューを変えることは基本的にありませんし、生野菜は出さないなどの原則があります。そのため、メニュー以上に宿泊先がその原則や方針を守ってくれるのかがチームにとって重要です」
ここでも普段どおりを徹底。それでも、今大会には「本当に心強い」助っ人が参戦する。
「今回のファイナルズには、日本代表の専属シェフを長く務めてきた西芳照氏に帯同してもらい、選手により安心してもらえる食事環境を整えていく考えです」
まさに鬼に金棒。鈴木氏らクラブスタッフが積み重ねてきた努力とノウハウ、そこに西氏のプロフェッショナルがかけ合わさって相乗効果が生まれ、クラブ初となるアジアの栄冠を手にする姿が期待される。
[プロフィール]
鈴木彩貴(すずき・あやき)/1987年4月13日生まれ、愛知県出身。現役時代のポジションはゴールキーパー。立命館大学卒業後の2010年に当時JFL所属だったブラウブリッツ秋田に入団する。その後、ギラヴァンツ北九州を経て2017年から2シーズン、横浜F・マリノスでプレー。2019年にV・ファーレン長崎に完全移籍し、同年12月17日に現役引退を発表した。引退後は2年間、FC町田ゼルビアのユースとジュニアユースでGKコーチを経験。22年に横浜マリノス株式会社に入社し、現在はJリーグ運営正担当・チームマネージャーを務める。
(FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治 / Ryoji Yamauchi)