JFA審判委員会がレフェリーブリーフィングを実施

　日本サッカー協会（JFA）の審判委員会は、3月18日にリーグ開幕から先週末のゲームまでの判定についてのレフェリーブリーフィングを実施。扇谷健司審判委員長ならびに、佐藤隆治JFA審判マネジャーからは、今季の判定基準について「アクチュアル・プレーイング・タイム（APT）を延ばすために判定を変えたということはない」とした。一方で、ノーファウルとファウルの境界線について「標準を上げていく」取り組みと、「見極めの難しいファウルを見落とした時に今年の温度感とつながってしまう」ことについても話した。

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　今季のJリーグは全体的な取り組みとして試合中の実質的なプレー時間を示すAPTの増加と、試合の強度を高めることの2つの軸が触れられた。それが同じ軸に乗っている現状について扇谷委員長は「決して我々はAPTを延ばすために判定を変えたということはない。競技規則が変わったわけでもないし、意図的に時間を延ばすためにファウルを取るなと話したことはない」と、大前提を話す。

　佐藤マネジャーも「色々な伝わり方の中でそのような記事やコメントがあることは理解している」とした一方で、今季の接触プレーに対する判定についてシーズンオフから取り組んできたことは「反則でないものに笛を吹かないこと」だとして、「（昨季まで）映像などで振り返った時に、『これで吹くの？　これは何の反則なの？』というものがあったと思う。そういうものに笛を鳴らすのは止めよう、そこにトライしようと伝えている。逆に言えば、反則には反則の笛、あるいはアドバンテージが採用されるべき」と話す。

　そこでの取り組みが「判定の標準を上げていく」取り組みであり、グレーゾーンにあたるプレーについて「ノーファウルからファウルにする下限は揃えたい」というもの。いくつかの場面を取り上げながら佐藤マネジャーが強調していたのは「シンプルに考えることが大事。戦わせるとか取らないではなく、ファウルかノーファウルかの見極めをするだけ」と話し、開幕からここまでの間に、プロフェッショナル・レフェリーたちのキャンプなども通じて「微調整をしてきた」とした。

　紹介された場面の中には、本来はファウルの判定をすべきものを見落としてしまったものがあった。全体的な傾向として佐藤マネジャーは「ファウルとすべきものにはファウルの笛を吹くべき。ただ、見極めの難しいファウルを見落とした時に今年の温度感とつながってしまう。そうなってしまうのは良くない」として、全体的に「足の接触の見極めが疎かになっていないか」というポイントを審判員たちとは共有したという。

　しかし、全体的な課題の1つがAPTを増加させることと、判定の標準を上げていく本来なら違う軸にあるはずの取り組みが同じ軸に乗ってしまい”誤解”を生んでいること。佐藤マネジャーは「今日のブリーフィングでそういったものも伝えたかった。リーグとも話をしながら少しずつ変えるのが大事かなと。クラブとのコミュニケーションも大事だ」と話した。

　そのうえで「第6節を見れば、シンプルに笛を吹けている部分もあるので、調整はできてきていると思う」と佐藤マネジャーは話した。オフシーズンに取り組んできたことが、開幕直後に強く出過ぎてしまうのはプレーする側にも起こるもの。代表活動での中断期間が明けるタイミングで、より全体の目線が揃ったレフェリングへ調整されることが期待される。