負傷交代のなでしこ清水、「内側に入ってしまった」右膝を日本代表OB危惧「かなり重症かも」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】前十字、内側靭帯、半月板のいずれかを痛めた可能性がある
なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間7月25日、パリ五輪のグループリーグ初戦でスペインと対戦し、1-2で逆転負けを喫した。DF清水梨紗が右膝を痛めて負傷交代となり、その後に勝ち越し点を献上。元日本代表DF栗原勇蔵氏は「かなり重症かもしれない」と、状態を懸念している。
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日本は昨年の女子ワールドカップ(W杯)覇者スペイン相手に前半13分、中央やや右サイドの位置でフリーキック(FK)を獲得するとMF藤野あおばが右足でニアサイドを狙い、相手GKもセーブしきれない位置にゴール。これがなでしこジャパンにとってパリ五輪初ゴールになった。
日本はその後、スペインにボールを持たれる場面が増え、前半22分にペナルティーエリア内へ侵入を許したところからMFアイタナ・ボンマティに同点弾を献上。1-1で前半を折り返した。
自陣でのプレーが長くなりながらも拮抗した展開で迎えた後半20分過ぎ、日本は右サイドの絶対的な主力である清水が相手MFマリオナ・カルデンティのドリブルに対応した際、ピッチに足を取られ右膝を痛めてしまう。自らプレー続行不能を伝えるアクシデントが起こり、担架で交代を余儀なくされた。日本は清水をDF高橋はなと交代させ、DF古賀塔子を清水のいたポジションに移した。
そうしたなかで後半29分、日本はスペインに清水が交代した右サイドから攻め込まれると、ペナルティーエリア内にドリブルで持ち込まれカルデンティに右足シュートを決められてしまう。これで1-2とビハインドを背負うと、池田太監督はラスト10分でFW千葉玲海菜を入れて攻撃時に4-3-3の形に変化させたが、そのまま試合は1-2で終了した。
元日本代表DF栗原氏は、清水の負傷交代が結果的に敗戦に影響したとの見解を述べる。
「点を取られたのは清水が抜けた日本の右サイドから。戦術的によく整備されているなかで、アクシデントが怖いと思っていました。清水の存在はやはり大きかった。よく耐えていたなかで予期せぬ形で選手が抜けると、ふっと力が抜けてしまうことがあります。周りの選手たちにも動揺があったのかもしれない。もちろん、スペインは男子顔負けのボール回しで上手かったのは間違いありません」
清水の状態は次戦以降に向けても大きな不安要素だ。池田太監督は試合後、「メディカルの報告待ち」と状況を明かしている。栗原氏は「膝が内側に入ってしまった」と負傷の瞬間について触れ、靭帯系の怪我を懸念した。
「(カルデンティに)逆を取られて抜かれた時に変なところに力が入ってしまった感じ。前十字(靭帯)、内側靭帯、半月板……。膝を痛めても多少動ける選手がいたりしますけど、立つこともできない、足もつけない状態だったのでかなり重症なのかもしれません。身体の無理が利く選手のほうが膝をやってしまいがちで、負担がかかるので」
日本としては、清水の状態次第で28日のブラジル戦に向けてアジャストが必要になりそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。