U-23小久保玲央ブライアンが台頭 それでも森保監督に鈴木彩艶の起用を推したい訳【前園真聖コラム】

日本代表の若手GKとして台頭中の小久保玲央ブライアン(左)と鈴木彩艶【写真:Getty Images】
日本代表の若手GKとして台頭中の小久保玲央ブライアン(左)と鈴木彩艶【写真:Getty Images】

長友佑都が代表復帰したSBは関根大輝や半田陸が次世代候補

 森保一監督率いる日本代表は、3月26日に予定されていた2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のアウェー朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦が3-0の不戦勝となったため、最終予選進出を決めた。そのため、6月に予定されているアジア2次予選の残りの2試合、アウェー・ミャンマー戦(6日/トゥウンナ・スタジアム)とホーム・シリア戦(11日/エディオンピースウイング広島)は公式戦を使ってテストができるという状況になった。果たして、日本代表はどんな試みをしなければいけないのか。元日本代表MF前園真聖氏は手薄なポジションがあるというが、新たな選手の起用については疑念を呈した。(取材・構成=森雅史)

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 W杯2次予選で、日本は2戦を残して突破を決めました。ですから、アジアはあっさり勝ち抜けると思えるかもしれませんが、アジアカップを見てもアジアの戦いはまた別の意味で厳しいというのが分かると思います。そして、日本は2026年のW杯本大会を睨んだチーム作りもしなければいけません。

 すっかり日本代表は層が厚くなりました。伊東純也(スタッド・ランス)、三笘薫(ブライトン)という2枚看板がいないことで両アウトサイドが苦しくなったように思えるかもしれませんが、堂安律(フライブルク)の(3月17日のブンデスリーガ第26節)レバークーゼン戦、(3月30日の第27節)ボルシアMG戦でのゴールを見たり、中村敬斗(スタッド・ランス)が日本代表として出場するたびに得点に絡んでいることを考えたりすると、とても大きな不安ということではなさそうです。

 ですが、それでもまだまだ人材を開拓しなければならないポジションがあります。特に、サイドバックはそうでしょう。3月は長友佑都(FC東京)が2022年のカタールW杯以来の代表復帰になりましたが、それこそが人材不足を意味しています。

 本当なら今、カタールでパリ五輪アジア最終予選を戦っているU-23日本代表から入ってきたらベストでしょう。グループリーグ第1戦の中国戦、第2戦のUAE戦で先発し、スピードがあるところを見せた関根大輝(柏レイソル)や第3戦の韓国戦に出場して積極的な攻撃参加を見せ、日本代表候補にもなったことのある半田陸(ガンバ大阪)が候補です。

 ほかにも藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)や松木玖生(FC東京)、素晴らしいドリブルでJ1リーグの2・3月MVPに選ばれた平河悠(FC町田ゼルビア)などはチャンスを与えることも考えられるかもしれません。

小久保がU-23アジアカップで評価アップ

 ただし、U-23日本代表ですぐ日本代表として活躍しそうな選手がいるかというと、かなり不透明な部分があります。それはU-23日本代表の選手が国際大会でどこまでプレーできるのか分からないからです。彼らはパリ五輪の本大会で活躍してこそ、日本代表に入ってこられるというのが道筋でしょう。

 そんなU-23日本代表にあって、評価を上げているポジションが1つだけあります。GKの小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が数々の好セーブを見せていたため、今年の日本戦すべてでゴールを守っている鈴木彩艶(シント=トロイデン)の代わりはどうかという声もあるようです。

 たしかに小久保は奮闘していましたが、僕は鈴木を使い続けていいと思います。実際のところ、日本代表のGKは誰もまだ正位置を獲得していないというのが正解でしょう。そのなかで鈴木はベルギーリーグでの出場を続けて日々経験を積んでいます。アジアカップで森保監督が「試練を与えるつもり」で起用し続けたのも、経験不足を補うためです。

 ライバルである大迫敬介(サンフレッチェ広島)にしても、しっかりリーグ戦に出て好プレーを見せているから日本代表に呼ばれているのです。小久保も今後、ポルトガルで試合経験を積んでこそ日本代表に呼ばれるというもの。ただ、小久保には今回の活躍を励みにこれからより励んでほしいと思っています。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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