ACL横浜FM戦、VAR介入基準にブレ? 2つの事象に疑問符…Jリーグと明確な違い

審判に抗議をする選手たち【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】
審判に抗議をする選手たち【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

延長戦で3回にわたってビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の大きな判定

 横浜F・マリノスは、2月20日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦の第2戦でバンコク・ユナイテッド(タイ)に延長戦の末に1-0の勝利を収めた。この試合では延長戦で3回にわたってビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の大きな判定があった。

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 今回からACLは完全な秋春制に移行。横浜FMは昨年9月に開幕したグループリーグで4勝2分。勝ち点12で3チームが並ぶ大混戦ながら首位通過し、日本でのシーズンをまたぐ形になる決勝トーナメントへ進出。現役時代にオーストラリア代表で名サイドアタッカーとして活躍したキューウェル新監督が就任しての初戦は、敵地で2-2の引き分けだった。そしてホームでの第2戦は、攻め込む時間が長かったものの相手の守備に手を焼いた。90分の間にゴールを奪えずに延長戦に入った。

 延長戦の前半、横浜FMのコーナーキックのチャンスでゴール前の競り合いが生まれ、プレーが流れたあとにDFエドゥアルドに対するファウルがあったのではないかとしてVARが介入してオンフィールドレビューが行われるも、主審はPKではないとして判定を変えなかった。また、延長後半にも横浜FMがカウンターでマテウスが抜け出しかかった場面で受けたファウルの場面が、決定的な得点機会の阻止(DOGSO)に該当するのではないかとVARが介入してオンフィールドレビューが行われるも、こちらも判定は変わらなかった。

 そして延長後半終了間際、横浜FMは右サイドから途中出場のFW村上悠緋が切り込んで中央へラストパス。これを相手選手がスライディングでクリアしようとしたが、ボールは腕に当たりハンドの反則になった。当初はペナルティーエリア外のファウルと主審と副審がコミュニケーションをしたうえで判定していたが、反則はペナルティーエリア内だったというVARオンリーレビューでPKに判定が変更。これをFWアンデルソン・ロペスが蹴り込み、劇的な決勝ゴールで1-0の勝利を収めた。

PK判定までにはしばらく時間がかかった【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】
PK判定までにはしばらく時間がかかった【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

PK獲得シーン以前にあった2つのVAR介入に必要性はあったのか

 村上はPK獲得シーンについて「クロスを上げた場所や(相手に)当たった音、確実にハンドだと思った」と話す。当初は主審がコーナーキックを指していたが、副審のサポートでハンドと判定され、反則の位置がVARによって特定された審判団のチームワークによる正しい手順の判定だった。

 一方で、その前に行われた2つのオンフィールドレビューは、いずれもその必要性に疑問符が付くものだった。特に2つ目のDOGSOに関わるものは、マテウスと相手GKまでの間に明確に相手DFがいる状況だった。実際のところVARが“念のために”主審に映像を確認させたという印象が付くものだった。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は先日、FOOTBALL ZONEの取材に対し、先日の日本代表が出場したアジアカップでのVAR運用について「JリーグのVAR介入の基準とは、やはり少し違いがあるなと思った。(アジアカップは)より正確性に寄った印象がある。それが世界的なトレンド(流れ)なのか、アジアカップだけなのかは正直分からないけれど……。Jリーグと比べた時にVAR介入の基準点が少し低かった、結構VARが(事象に)介入していたという感触はある」と話していた。

 この2つのオンフィールドレビューもまた、アジア杯での運用と似たものは感じられた。今季のJリーグがどのようなVAR介入の基準を設定していくかは今週末のリーグ開幕後の注目ポイントの1つだが、少なくともACLにおいては国際大会におけるVARの運用トレンドをチームや選手、あるいはファン・サポーターも理解する必要があると言えそうだ。

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