森保J、アジア杯出場24選手「パフォーマンス総括」 冨安がMVP…もう1人の満点評価は?【現地発】

アジアカップの出場24選手を評価【写真:Getty Images & ロイター & (C) 2024 AFC】
アジアカップの出場24選手を評価【写真:Getty Images & ロイター & (C) 2024 AFC】

アジア杯5試合の出場メンバー24選手を5段階査定

 森保一監督率いる日本代表は、2月3日にカタール・ドーハで行われているアジアカップの準々決勝を戦い、イラン代表に1-2で敗れた。5度目の優勝を目指していたなかで、まさかの8強敗退。あまりに早い幕引きとなった。

 グループリーグは2勝1敗、決勝トーナメント1回戦でバーレーンに勝利し、準々決勝でイランの前に散った。アジアで3勝2敗という厳しい現実のなか、今大会を通しての選手パフォーマンスを振り返るべく、出場24選手を5段階評価(最高が5つ星★★★★★)で査定する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

   ◇   ◇   ◇

<GK>
■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★☆☆(5試合出場/先発:5試合)
 5試合で8失点。GKだけのせいにするのは厳しいが、もう少し経験を積みたかった。オフサイドになった1対1は何度か止めており、そこから乗っていけるようにも感じていた。アジア杯で守護神の座を奪い取ったとまでは言い難い。ポジショニング、判断の向上を目指して、さらなる成長を遂げてほしい。

<DF>
■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★☆☆(3試合出場/先発:3試合)
 全体的に見れば可もなく不可もなくの及第点。三笘薫を生かす役割をもう少し発揮できてれいば。スペースを埋める“黒子”としては地味だが良かった。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★☆☆☆(2試合出場/先発:2試合)
 普段プレーするカタールで環境には一番適応している状態だったが、その強みはイマイチ感じられず。特にイラク戦では1対1が強い相手だったとはいえ力負けするシーンも。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★☆☆☆☆(4試合出場/先発:4試合)
 大会通してコンディションは上がらなかった。開幕前からの体調不良、ネズミ除去の手術後ということもあり、板倉らしくないプレーを連発。イラン戦は警告を受けたことも痛かった。ただ、主力から陥落したわけではない。北中米ワールドカップ(W杯)に向けて悔しさを晴らしてほしい。

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★☆☆☆(2試合出場/先発:2試合)
 グループリーグ(GL)の不調からの脱却は出場時間がなく叶わなかった。悩みに悩んだ大会となっただろう。右サイドバック(SB)争いは振り出しに戻ったが、またここから。W杯予選で積極的な攻撃参加が見られるのを期待している。

■毎熊晟矢(セレッソ大阪)=★★★★★(4試合出場/先発3試合)
 今大会で最も評価を高めた。イラン戦では1人で相手2人を見ないといけない状況が続き苦戦も、走りながらの美トラップなど技術の高さを見せた。菅原と高いレベルでの右SB争いは今後も見もの。

■冨安健洋(アーセナル)=★★★★★(4試合出場/先発:3試合)
 日本をもう一段階高いレベルへ上げるために奮闘した新リーダー。冨安の基準を全員がクリアできるようにならなければならない。まずは「勝利への執着」から。その存在感は今大会のMVP。これからも体現し続けてもらいたい。

■中山雄太(ハダースフィールド)=★★★☆☆(2試合出場/先発:2試合)
 守備で奮闘する場面が多かった。インドネシア戦では中村敬斗との連係で活性化していたが、バーレーン戦では相手の警戒もあり少し物足りず。伊藤とともに左SBではまだ絶対的な地位確立はしていない。

■渡辺 剛(ヘント)=★★★☆☆(1試合出場/先発:0試合)
 1試合のみの出場だったが、相手が仕掛けてくるなかで締める役割を全うした。練習では最後まで居残り、決して手を抜かずしっかりとやり切った。その姿は忘れない。

■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)=★★★☆☆(2試合出場/先発:1試合)
 先発出場したインドネシア戦では冨安に牽引されながらも守備でリズムを生み出した。バーレーン戦での3バックも難なく対応。ただ、イラン戦で途中出場できなかったのは悔しい。絶対的な「何か」がほしい。

久保建英がチームの攻撃を牽引した【写真:ロイター】
久保建英がチームの攻撃を牽引した【写真:ロイター】

旗手が台頭、久保の存在感が光る

<MF/FW>
■遠藤 航(リバプール)=★★☆☆☆(5試合出場/先発:5試合)
 5試合フル出場の鉄人ぶりはさすが。今大会はさまざまなチーム内での問題があり統率は難しかったかもしれない。イラン戦は精神的な影響もあっただろう。だからこそ、主将としての絶対的なリーダーシップをもう少し見せてもらいたかった。

■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆(4試合出場/先発:3試合)
 悩むことが多かった大会になったか。カバーに追われ、持ち味を発揮しきれなかったかもしれない。W杯予選を通して解消できたら良いが……。

■佐野海舟(鹿島アントラーズ)=★★☆☆☆(2試合出場/先発:0試合)
 旗手の台頭もあり、出番は限られていた。セカンドボールの回収で日本が苦戦していたことを考えると、もう少しピッチに立ちたかった。

■旗手怜央(セルティック)=★★★★☆(3試合出場/先発:2試合)
 イラク戦で精度の高いコーナーキックからゴールを演出。先発出場したインドネシア戦では神出鬼没っぷりを見せ、期待以上の活躍。バーレーン戦でも負傷交代は痛かった。イラン戦で旗手がいれば……中盤の“つなぎ役”になってくれたか。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★☆☆☆(3試合出場/先発:2試合)
 出場した際には珍しく突破に苦しんでいた。オウンゴール誘発のクロスの精度は高かった。今はきっと自身を責めていることだろう。まずは事態と向き合ってほしい。戻ってきたとき、またピッチ上の評価をしたい。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆(5試合出場/先発:2試合)
 ベトナム戦では2ゴール1アシストで活躍も、途中出場では守備に追われることが多かった。短い出場時間で悪い流れを打破する役割も求めたい。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★★☆(5試合出場/先発:4試合)
 徐々にコンディションが上昇し、クリエイティブさを発揮。数人で止めるしかない中央でのクオリティーは脅威だった。UEFAチャンピオンズリーグで世界を経験し、一皮むけた姿で戻ってきてほしい。

10番を背負いチームを引っ張った堂安律【写真:ロイター】
10番を背負いチームを引っ張った堂安律【写真:ロイター】

堂安が安定感を示す、浅野は悔やまれる出来に

■三笘 薫(ブライトン)=★★☆☆☆(2試合出場/先発:0試合)
 本当なら準決勝で先発復帰の予定だっただろう。三笘にとってはここからという時に戦いが終わってしまった。バーレーン戦のドリブルやパス、トラップの精度は見事だった。

■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★★☆(3試合出場/先発:3試合)
 1試合に1度は絶対に決定機があり、その精度の高さは健在だった。1ゴールをマークもあと2点決められたはず。相手DFが手を焼く存在になった。

■堂安 律(フライブルク)=★★★★☆(5試合出場/先発:3試合)
 このアジア杯に懸けていた。日本が苦しい時、10番が堂安で良かったと思わせた。イラン戦は前線からの守備で存在感。“リレー方式”の交代カードが切れずにガソリン切れも。ただ、敗退の悔しさを露わにする姿は、日本代表をどのようなチームにしたいか、その強い気持ちが伝わってきた。

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★★☆(5試合出場/先発:3試合)
 大会4ゴール。エースとして一段階上った。ポストプレーも秀逸。イラン戦でゴールを決めていれば……。まだまだ続くアジアでの戦いで得点量産してほしい。

■細谷真大(柏レイソル)=★★☆☆☆(2試合出場/先発:1試合)
 先発したベトナム戦ではハーフタイムで交代。悔しい大会となった。決勝まで進んでヒーローになりたかった。

■前田大然(セルティック)=★★★★☆(3試合出場/先発:1試合)
 前線からのプレスでハメて高い位置で奪い取る。一方で最終ラインまで戻る守備も見せる。良さを生かせたイラン戦。あとは攻撃での決定力を磨いてもらいたい。

■浅野拓磨(ボーフム)=★★☆☆☆(3試合出場/先発:1試合)
 イラク戦、バーレーン戦で決定機に絡むも決め切れなかったのは悔やまれる。カタールW杯やリオ五輪最終予選でゴールしたドーハの地だったが、今回はあまりスピードを生かし切ることができなかった。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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