カリーレ監督の“契約問題”、J2長崎の声明にブラジルメディアも正当性を支持 「正式な契約を交わすには…」

ファビオ・カリーレ監督の契約問題の結末は?【写真:Getty Images】
ファビオ・カリーレ監督の契約問題の結末は?【写真:Getty Images】

長崎は髙田会長が声明

 ファビオ・カリーレ監督のV・ファーレン長崎との契約問題が、ブラジルメディアで再び話題に上っている。1月5日に公表された、長崎の髙田旭人代表取締役会長の声明を受けたことによるもので、テレビのスポーツ番組やスポーツ情報サイトはその全文をポルトガル語翻訳とともに紹介し、これまでの流れを振り返っている。

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 それに続き、カリーレ監督が契約の意向を示すブラジル1部サントスが同日、クラブの公式SNSで「敬意を表し、両クラブの良好な関係を維持するために、サントス・フットボールクラブは日本のV・ファーレン長崎と、今後数時間以内に連絡を取り、ファビオ・カリーレ監督の状況に関する完全な透明性を示すつもりです」と発表した声明も紹介した。

 現時点で一連の両クラブの声明を淡々と説明するにとどめるニュースもあるが、なかには「グローボ・エスポルチ」のように、「V・ファーレン長崎は“今後の日本サッカーのために”ファビオ・カリーレの違約金の支払いをサントスに要求」と、高田社長の言葉を引用し、長崎の毅然とした姿勢が意味することを、見出しで掲げている媒体もある。

 さらに、「クラブの髙田旭人社長は、ペイシェ(「魚」の意。サントスの愛称)に正式な手続きの実現を求めているが、現時点ではまだ返答が得られていない。監督はまだアウヴィネグロ(「白と黒」の意。サントスの愛称)との契約にサインしていない」と、長崎側の声明の正当性を強調している。

 もともと、今回の件については、当初から不透明な部分が多く、疑問視されていた。昨年12月19日にサントスのクラブ会長に就任したマルセロ・テイシェイラ氏は、就任式当日に、カリーレの違約金全額を支払うことについて、サントスには「不可能」であること、そして契約破棄については、監督と代理人が責任を持って解決するという前提で、サントスとの交渉があった、と報道陣に明言していた。契約破棄について「監督の代理人と日本のクラブの間で合意が得られている。サントスに(違約金支払いの)コンディションがないことは、交渉の最初から表明してきた」と語っていた。

 その翌日、カリーレ監督のサントス監督就任会見の際にも、その状況について本人に質問が飛んだ。カリーレ監督自身は「月曜日(12月19日)にクラブと話し、自分の決断を伝えた」と語り、長崎を去ることについては、自分の代理人とサントスのマルセロ会長に任せていたと語った。

 その後、会見上でカリーレ監督は長崎への感謝を語り、日本人の仕事の仕方や日本の文化について、言葉を惜しまず称賛したこともあり、その日の報道では「“話した”ということで解決したのか?」と疑問を呈する媒体もあったものの、解決に向けて進んでいるものと受け止められていた。

サントスはFIFAに訴えられる可能性も?

 今回の再度の長崎の声明を受けて、「グローボ・エスポルチ」では、サントスとカリーレ監督の間には、仮契約は交わされているものの、正式な契約を交わすためには「長崎との問題を解決しないといけない」という状況を説明している。

 この問題が解決しなければ、サントスはカリーレを正式な監督として、ブラジルサッカー連盟(CBF)に登録するための書類が得られない。そして、もし登録できなければ、カリーレは1月20日に開幕するサンパウロ州選手権の指揮を執れない。ただ、この件に関して、「グローボ・エスポルチ」編集部がサントスに問い合わせをしているが、1月5日の段階では、まだ回答を得られていないと伝えている。

 同時に、カリーレ監督の代理人パウロ・ピトンベイラ氏と接触したところ、彼はサントスと機密保持契約を交わしているため、この件に関しては発言できないが、「状況は解決されていて、カリーレ監督は法的にもサントスを指揮できると保証した」としている。

 米スポーツ専門局「ESPN」ブラジル版は、コメンテーターのアンドレー・キフーリ氏が「近年、こうした問題で国際サッカー連盟(FIFA)に訴えられ、クラブが新たな契約の停止を命じられる例も数々起きている。いくらサントスが長崎に敬意を表すると声明を出したところで、何も解決しなければ、FIFAに訴えられ、サントスにとって非常に危険な状態になる」と、放送上で忠告した。

 そのうえで、「サントス会長は『クラブには違約金を払えるコンディションはない』と報道陣に明言していたが、それならどこかの誰かがサントスに代わって払わなくてはならない。それがどこになるかが解決の鍵になるだろう。週明けには状況好転のニュースを伝えられることを願っている」と語っていた。

 サントスは111年の歴史を持つ強豪で、ジエゴやロビーニョ、ネイマールやパウロ・エンリケ・ガンソ、近年ではロドリゴを生み出したように、育成にも定評がある。ただ、昨年の不振により、ブラジル全国選手権でクラブ史上初めて2部に降格したうえに、南米の2つの大会やコパ・ド・ブラジルの出場権を逃し、今年はサンパウロ州選手権と全国選手権2部を戦うことになっている。その状況のなかで、カリーレ監督の手腕に上昇への期待が懸かっている。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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