浦和を襲った“悪循環” 韓国・強豪のディフェンスラインに苦戦…指揮官も落胆「同じ言語を話していない状況だった」

浦和はホームで浦項に敗戦【写真:徳原隆元】
浦和はホームで浦項に敗戦【写真:徳原隆元】

ACLで浦項に0-2の完敗

 浦和レッズは10月24日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第3戦で浦項スティーラーズ(韓国)と戦い、0-2で敗れた。本拠地の埼玉スタジアムで敗れるのは約5か月ぶりで、今季2回目のこと。様々なことが悪循環したゲームになった。

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 浦和のマチェイ・スコルジャ監督は、試合前日会見で過密日程に言及し、「柏レイソル戦(10月20日、2-0)と全く同じ11人で戦うことはない」と話し、柏戦で負傷交代したMF関根貴大の欠場も明言していた。その中でスタメンは5人の変更となり、DF岩波拓也とU-22日本代表DF大畑歩夢が最終ラインに入り、ボランチの一角にはMF柴戸海を起用。前線にはFWブライアン・リンセンとFW髙橋利樹が配置された。

 ところが、立ち上がりから噛み合わない部分が多く出た前半22分、右サイドに入っていた髙橋が左サイドの前方まで相手ボールを追っていくと、がら空きになったスペースに展開され一気に前進を許した。そこからクロスを入れられ、FWチョン・ジェヒに合わせられて失点。あっさりと先制点を許してしまった。こうなってしまうと、今度は浦和のビルドアップが問題を抱えた。

 浦和は柴戸とセンターバックの岩波、DFマリウス・ホイブラーテンが後方で3枚になり、相手の2トップの横から岩波とホイブラーテンが起点になる攻撃を模索した。しかし、マンマーク気味に人を捕まえる浦項は、岩波とホイブラーテンからのパスレシーバーを捕まえた状態を作り、ボールを持つ2人もドリブルで敵陣に運んでいくプレーを増やせず停滞してしまった。

 スコルジャ監督も「浦項を分析した時に、そこは心配になった部分の1つだった。相手のディフェンスラインがフラットになって守備をするので、前線に動きの連係がないとギャップや背後が生まれない。そこを心配していた。特に岩波はいいパスがあるので3枚回しでスペースを生んで彼のパスを狙うのはあった。もしかしたら私が前線の選手を替えすぎたかもしれないが、前の選手が同じ言語を話していない状況だった」と、後方からドリブルのできるDFアレクサンダー・ショルツや、味方のポジション調整をしながらプレーするMF岩尾憲をベンチスタートにした弊害、柏戦から選手を入れ替えたことなど、打った手が裏目に出た。

 そうなると、攻撃の停滞は相手のカウンターを呼んでしまった。追いかける展開でサイドバックが高い位置まで進出する一方で、いい形で攻撃を終われないことで逆襲の回数も増えた。GK西川周作のファインセーブも数多く見られたが、後半4分には右サイドでのボールロストから逆サイドに展開されるカウンターで失点。後半から投入したDF酒井宏樹が高い位置まで攻撃参加した場面で、戻ることができないまま最後はそのスペースでフィニッシュを許してしまった。

 そして、ゲームの下支えをする局面バトルについても指揮官は「我々は通常の試合ではフィジカル的に相手を上回ることが多いが、本日はコンタクトプレーのほぼすべてで負けてしまった。韓国のサッカーのそのような部分に少し驚きを感じた。守備から攻撃への速い切り替えを止められなかった。2失点目もそこからだった」と、分が悪かったことを認めざるを得なかった。

 埼玉スタジアムでのホームゲームで敗れたのは、決勝のみ今年の開催だった前回2022年ACL決勝の第2戦で優勝を決めてから中3日という、”燃え尽き感”が否めなかった5月10日のサガン鳥栖戦以来。この後はリーグ戦の鹿島アントラーズ戦や、ルヴァンカップ決勝といったシーズンの行方を左右するゲームが続くだけに、あまりにも上手くいかなかった試合から精神的な部分ではスパッと切り替えて臨みたいところだ。

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