高卒→直接ドイツで奮闘、福田師王の現在地「今は本当に壁にぶつかっている」 トップの練習参加で見えた課題【コラム】
Jクラブを経由せず直接ドイツへ 2シーズン目の今季は苦戦
昨年末に開催された第101回全国高校サッカー選手権大会。惜しくも準決勝で敗れた神村学園高校を牽引していたのは、エースストライカーの福田師王だった。
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驚異的な跳躍力を生かしてヘディングでゴールを脅かせば、ボールを収めたり、ポストプレーでチームに好循環をもたらした。得点は3つと大きく伸ばすことはできなかったが、大会得点王に輝くなど、確かなインパクトを残すに至った。
そんな福田が次なるステージとして選んだのは欧州の舞台だった。Jリーグから多くのオファーがありながらも、日本のプロクラブを経由せずに欧州への道を選択。近年、増えてきたパターンではあるが、大きなチャレンジに身を投じることになる。
加入したクラブは、日本代表DF板倉滉が在籍するボルシアMGのセカンドチームにあたるボルシアMGⅡ。ドイツの名門チームの扉を叩くことになった。
滑り出しは思いの外、うまくいった。セカンドチームではなく、U-19のチームからのスタートとなった福田は、前線で積極的に起用されるとゴールを量産。自身の力をしっかりと証明していく。そして、結果がついてくれば、周りからの信頼も高まるもの。動き出しに対して見てくれる選手が増え、ボールも次第と回るように。まさに“順調”という言葉が当てはまるほど、いい滑り出しを切った。
ただ、短期間ながらドイツでの経験と自信を手にし、挑んだ5月のU-20ワールドカップでは悔しさを味わうことになる。ライバルたちとのポジション争いに敗れてスタメンを奪取することができないと、限られた出場時間の中で結果を残すことができず。チームがグループステージ敗退で終わったことも含め、充実感を得られないままアルゼンチンをあとにすることになった。
ドイツに戻ってきた後も苦難が待っていた。新シーズンが始まりプレシーズンマッチでは、トップチームの練習に参加してゴールを奪うなど違いを見せることには成功した。ただ、ボルシアMGⅡでの日々が始まると、トップに上がろうとするライバルとのポジション争いが激化。「フィジカルのレベルがアップした」と話すように、周りの身体的なパワーが上がり、これまで通用していたプレーが一気に表現できなくなった。
また、トレーニングから自我を強く出す選手が多く、動き出しや点で合わせるプレーが得意な福田にとっては、周りからの信頼が高まっていないことでなかなかいいパスも入ってこず。そういった状況を変えるには“結果”がすべてとなるが、ここまでリーグ戦8試合に出場して得点はゼロ。苦しい時期が続いていると福田も認める。
「いろいろな面で成長していると思いますけど、今は本当に壁にぶつかっている。やはり点数というのが自分には絶対に大事なので、もっとレベルアップしないといけないなと思っています」
それでも、この状況に落ち込んでいるかと言われれば、答えはNOだ。近しい場所に板倉というお手本になる選手がいることも大きいだろう。時々、食事に出かけてはいろいろな話を聞いているのだと言う。日本代表にまで上り詰め、トップチームで活躍している男の話を聞いては、まだまだやらなければとモチベーションを高めている。
「壁を乗り越えた時にどれくらいレベルアップしているのかが楽しみなんです。落ち込んでいる暇はないと思っているので、しっかり結果を残して活躍したいなと思っています」
10月にはトップチームの練習試合に参加
10月のインターナショナルウィークではトップチームの練習に呼ばれ、トレーニングマッチにも出場した。17分という限られた時間の中で、アシストこそあったものの内容面では乏しい出来に終わってしまった。だが、そういった場所でトップの指揮官に直にプレーを見てもらうことに意味がある。クラブが下位に低迷していることもあり、セカンドチームで活躍すれば、トップに上がってこられる可能性だってある。そこへ繋げるためにも一歩一歩積み重ねていくしかないだろう。
「試合に出してもらって感謝しています。本当に試合もそうですし、トップチームの練習に参加したときは、トレーニングの時から得点を決めて監督にアピールしないといけない。練習ではかなりいい感じにできている手応えがあったので、自分の力を見せるためにも得点を決めて結果を残すしかないです」
ドイツに渡って9か月。まだ何かを成し遂げたわけではない。だが、何かを成し遂げるために着実に前へと進んでいる。
来年に開催されるパリ五輪を諦めていない福田は、ここからさらに成長速度を加速させる必要がある。そのためには、やはりトップチームで出番を得られるようになることが重要だ。
「早くトップに上がって、絶対に(板倉)滉くんとプレーします」
目標は常に高く。Jリーグを経由せずに欧州へと渡った福田の挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。
(藤丸リオ / Fujimaru Rio)