浦和MF小泉佳穂、1G1Aで示した“進化” 苦しんだ今季序盤から成長…シーズン初ゴールは「自分としても意味のあるもの」

浦和の小泉佳穂【写真:徳原隆元】
浦和の小泉佳穂【写真:徳原隆元】

柏戦で全2ゴールに絡む活躍、今季のJ1初ゴールも

 浦和レッズは10月20日のJ1リーグ第30節、柏レイソル戦に2-0で勝利した。スタメン出場したMF小泉佳穂は1ゴール1アシストの活躍を見せたが、これが今季のJ1初ゴールだった。

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 まずは後半8分、右サイドにMF安居海渡が抜け出すと狭い角度から思い切ってシュート。GKが弾いたこぼれ球に詰めてきた小泉が蹴り込んだ。安居の切り込み、ニアサイドに走り込んだFW髙橋利樹の動きに合わせてマイナスの位置に入り込んできたことがゴールにつながった。それだけに、シュートの難易度も低くはなかったが「個人としてもあそこにいられたことは大きな価値があるし、あそこに居続けられれば、このようなゴールが増えていくと思うので、自分としても意味のあるものだったと思う」と、ゴールを奪える場所にいたことの重要性を話した。

 続く後半12分には、中盤で前を向いたMF大久保智明からのパスを受けると、相手とのギリギリの位置を通してDF荻原拓也に絶妙なパス。「歩幅とかの意味では、100回に1回しか出ないくらいのジャストなパス」を荻原が左足ダイレクトで蹴り込んで勝敗に決定的な2点目が導かれた。

 小泉は2021年にリカルド・ロドリゲス監督は就任したのと同じタイミングで浦和に移籍加入した。ロドリゲス監督のリクエストだったわけではないが、加入してみればピタッとそのサッカーにフィットして存在感を強めた。トップ下を主戦場に後方と前線をつなぐリンクマンとなり、その2シーズンでは絶対的なレギュラーと呼ぶレベルのプレー機会を得ていた。

 一方で、今季にマチェイ・スコルジャ監督が就任すると、そうしたリンクマンとしての働きは許容されながらもより前方へと働きかけるプレーが求められた。プレシーズンのキャンプから意識改革も話していたが、5月ごろのゲームでは数試合ビルドアップに関わったプレーでミスが続き、恐怖感を持ちながらプレーした時期があった。コンディションを崩したこともあり、ファーストチョイスが安居に変わっていくなかで苦しんだ部分も色濃かった。

 そのなかで、9月上旬に大久保が負傷離脱するとサイドハーフで再びスタメン出場を増やした。献身性やサイドで一度ボールが収まるプレーといった良さは継続しつつ、より背後へ飛び出すプレーや攻撃の最終局面に関わるプレーが増えた。11日と15日に横浜F・マリノスと2戦合計方式で戦ったルヴァンカップの準決勝でも、2試合ともシュートや際どいクロス、あるいはニアサイドへ走り込むことでゴール前の相手を引き付けるような動きもあった。そうした流れで迎えての柏戦だった。

 今季の浦和はJ1最少失点の堅守が光る一方で、柏と並びJ1最多タイの「11」引き分けが示すように勝ち切れないことが優勝争いの主役になり切れない大きな原因になっている。小泉は「リーグ戦は勝ち点という性質上、勝つことの価値が高い」と理解している。しかし、その得点力という点で浦和の2列目が十分な期待に応えてきたかというと肯定はしづらい。

 それでも、やや遅まきながらも小泉は公式戦3試合を連続で明らかにゴールの気配を感じさせるプレーを増やし、この柏戦で結果に表れた。負傷から復帰した大久保も含め、彼らがさらに相手ゴールへの圧力と存在感を増すことができれば、J1の残り4試合を全勝して優勝への望みをつなぐことも現実味を帯びてきそうだ。

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