10人の浦和、リーグ最少失点の本領発揮「ボールを奪いに行く4-4-1」 首位追う好調チームの守備組織とは?

数的不利での戦い方について語った浦和の岩尾憲【写真:徳原隆元】
数的不利での戦い方について語った浦和の岩尾憲【写真:徳原隆元】

G大阪戦では1人少ないなかで逆転勝利

 浦和レッズは9月24日のJ1リーグ第28節ガンバ大阪戦に、敵地で1-1の同点から退場者を出して10人になった後に2点を奪って3-1の勝利を収めた。MF岩尾憲は、10人になってからの戦い方の整理を「自分たちからボールを奪いに行く4-4-1」と話した。

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 試合が1-1の同点で迎えた後半4分、浦和のゴールキックから前線に向けて蹴り込まれたボールとプレー、判定をきっかけに両チームが騒然とする状況になった。荒木友輔レフェリーがアシスタントレフェリーと確認を行い、さらにビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)との交信の後にオンフィールドレビューが実施されると、G大阪のFW宇佐美貴史と浦和のFWホセ・カンテが対立した場面でカンテが宇佐美に頭突きをしている映像が映し出された。他にも騒然とした状況の中でピッチに倒れ込んだ選手もいたが、確認があったのはこのワンシーンのみ。事態の発生から判定の確定まで10分近くかかったのち、荒木レフェリーの判定は宇佐美にイエローカード、カンテにレッドカードとなった。

 この状況でも首位を追いかける立場の浦和にはゴールが必要だった。マチェイ・スコルジャ監督はMF小泉佳穂とMF関根貴大に代えてFWブライアン・リンセンとFW髙橋利樹を投入して4-4-1の形に整理した。その形からでも浦和はプレスに出ていく姿勢を見せ、後半23分、右サイドからのクロスに左サイドハーフに入っていた髙橋が走り込んでヘディングシュートを決めた。しばらくG大阪が一方的に攻め込んで浦和が耐える時間帯が続いたが後半40分、G大阪が自陣からのビルドアップでミスをするとボールはMF安居海渡へ。安居は素早くリンセンへスルーパスを通し、ペナルティーエリア内に切り込んだリンセンがGKとの1対1を決めて3-1とした。

 守りに入っている時間帯も浦和は最終ラインと中盤の4-4の2列が崩れず、ペナルティーエリア内に完全撤退する時間を極力短くした。岩尾は「退場者が出た時点で、4-4-1にするけど、引く4-4-1じゃなくて、あくまでも自分たちからボールを奪いに行く4-4-1をやり続ける。うまくカウンターから2-1になったけど、その後も変えずにいくというのは、(DF酒井)宏樹含めてみんなの共通認識をもって統率が取れていた。ゆえに1点取っても変わらない、2点取っても引いて守るんじゃなくて、ある程度まで牽制しながら、できるだけ自分たちの危ないゾーンに簡単に運ばせないということを継続した」と、その守り方について話した。

 G大阪は4-4-1で守る浦和に対して、マイボール時には3-2-5のようにして両サイドを広く使った。1トップに入ったリンセンの横から侵入してアーリークロスを入れるチャンスが増えそうな形だったが、浦和は中盤のラインから人が前に出て牽制することで抑止力になった。前に出る分、違う位置にボールが展開されれば元のポジションに戻るハードワークが要求されるが、その運動量も含めて戦いきる試合だった。

 今年の4月と5月に行われた2022年シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝では、アル・ヒラル(サウジアラビア)の猛攻に耐え抜いて優勝を果たした浦和だが、最終的にゴール前を守り切った当時よりも10人になったこの日の方がゴール前に相手を入れずに守った。岩尾は「出る所は出て、締める所は締めて。きついですけど、ボールに対して、誰もいけない時間をできるだけ減らすというところ。全体を通して、きつい中でも集中して足を動かしてやれた。途中から出てきた選手も、非常にチームの守り方を理解しているのでチームの歪があまり出ない。そこが今のチームのすごく良いところだと思う」と手応えを話した。

 このゲームでは10人になって改めて、今季のリーグ戦で最少失点の戦いを続けている浦和の守備組織が本領を発揮する形になった。

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