「もう、若手じゃないので」 伊東純也がスピード突破で“追い越さない”…トルコ戦のワンプレーに見えたリーダーの自覚【現地発】

日本代表の伊東純也【写真:ロイター】
日本代表の伊東純也【写真:ロイター】

2試合とも好パフォーマンスを発揮

 森保一監督率いる日本代表は9月12日、ベルギー・ゲンクでトルコ代表戦を戦い、4-2で勝利を収めた。強豪ドイツ代表戦(4-1)から中2日。欧州遠征の2連戦で2連勝と明らかなレベルアップを示した。なかでも圧倒的なパフォーマンスを見せたのがMF伊東純也(スタッド・ランス)。ドイツ戦での1ゴール1アシスト、トルコ戦でのPK奪取からの凱旋ゴール、熾烈なポジション争いとなる右ウイングで絶対的な存在感を見せつけた。今年30歳になった伊東は、中堅として心境の変化もあったという。いまだ成長を続ける伊東の飛躍のカギに迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 2017年12月、柏レイソル所属だったE-1選手権で当時のバヒド・ハリルホジッチ監督から日本代表に初招集された。森保監督体制になってからはこの5年間、ずっと右サイドを支えてきた存在。初招集時は24歳だった伊東は、今30歳になった。トルコ戦では途中出場。かつてプレーしたゲンクのホームスタジアムで躍動した。

 ボールを奪い、1人でぐんぐん加速、約80mの独走からペナルティーエリア内で倒されてPKの獲得に成功。自らPKを蹴る強い意思を貫き通し、ゴール右に蹴り込んだ。

 一連のシーンは圧倒的だったが、注目したいのは別の場面。自らが橋岡を追い越すこともできたシーンで右サイドバック(SB)に入っていたDF橋岡大樹にボールを預けて様子をうかがった。伊東はこう発言している。

「無理に追い越す必要はないのでハシ(橋岡)に仕掛けさせて、詰まったらサポートして逆サイド、と。もう歳ですし、そこらへんはバランスをとらないと。若手じゃないので。昔は酒井(宏樹)くんとかが(右SBを)ずっとやっていて、自由にやらせてもらう側だった。若いサイドバックが何人も来て、うまく使ってあげるのも必要だと思うし、自分でいくところと使ってあげるところを使い分けられたら」

 また、スタッド・ランスでチームメイトのMF中村敬斗が2ゴール挙げたことにも言及。“弟分”の活躍に「持っているな、と。『敬斗、ボール触っているか~?』と思ったら点を取っていた。決定力があるので、ああいうのは決めるかな。(ランスでも)2人とも点を取ってリーグ戦も順位を上げていければ」と、“兄貴”らしいエールの送り方だった。

 マイペースなところもあり、チームを引っ張っていく、というタイプではない伊東から出た責任感の強い言葉。全体のことを考えて、自分が先輩にしてもらったように後輩たちを飛躍させるための振る舞いをしていく。

 プレーだけでなく、精神的な支柱としても成長を遂げた伊東はこれからも森保ジャパンには欠かせない存在だ。

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