森保ジャパン、9月シリーズ後の「最新序列」 遠藤、伊東、鎌田の中堅組が意地を発揮…起用法&パフォーマンスから考察【現地発】

日本は欧州遠征2連勝【写真:ロイター】
日本は欧州遠征2連勝【写真:ロイター】

欧州の強豪相手に2連勝 森保ジャパン全体で底上げに成功

 森保一監督率いる日本代表は9月12日、ベルギー・ゲンクでトルコ代表戦を戦い、4-2で勝利を収めた。強豪ドイツ代表戦(4-1)から中2日。欧州遠征の2連戦で2連勝と明らかなレベルアップを示した。新たな選手もアピールに成功したなかで「最新序列」に注目。9月シリーズを受けて、森保監督の評価を上げたと考えられる選手は「↑」を付けた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

   ◇   ◇   ◇   
<GK>
〇シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)
〇大迫敬介(サンフレッチェ広島)↑
〇中村航輔(ポルティモネンセ)
△谷 晃生(ガンバ大阪)
△権田修一(清水エスパルス)
△川島永嗣(ストラスブール)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 9月シリーズではドイツ戦の守護神に注目が集まった。そこで起用されたのが大迫。緊張を見せながらも失点シーンはノーチャンス。ドイツ相手に堂々とプレーし、経験を積んだ。森保監督の期待が高まっていると考えて良いだろう。トルコ戦では中村航をスタート起用したが負傷交代だったためシュミットも出場。シュミットは急遽の出場でも危なげない安定したプレーだったが、起用法から見れば序列を上げたと言えるのは大迫か。

森保ジャパン第2次政権の最終ラインで主軸候補が決定

<DF>
◎板倉 滉(ボルシアMG)↑
◎菅原由勢(AZアルクマール)↑
◎冨安健洋(アーセナル)↑
◎伊藤洋輝(シュツットガルト)↑
〇毎熊晟矢(セレッソ大阪)↑
〇谷口彰悟(アル・ラーヤン)
〇森下龍矢(名古屋グランパス)
〇町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)
○中山雄太(ハダースフィールド・タウン)
〇橋岡大樹(シント=トロイデン)
△相馬勇紀(カーザ・ピアAC)
△酒井宏樹(浦和レッズ)
△瀬古歩夢(グラスホッパー)
△吉田麻也(シャルケ)
△バングーナガンデ佳史扶(FC東京)
△山根視来(川崎フロンターレ)
△長友佑都(FC東京)
△半田 陸(ガンバ大阪)
△角田涼太朗(横浜F・マリノス)
△藤井陽也(名古屋グランパス)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 DFではやはり冨安の復活が大きい。センターバック(CB)でコンビを組んだ板倉とドイツの攻撃陣相手に身体の強さ、1対1の強さだけでなくスライドの速さ、対応力と高水準で見せつけた。冨安に関しては高精度のフィードで2得点を演出。これからの最終ラインは冨安と板倉に任せる、森保監督のメッセージも受け取れた。

 そのなかでかなり評価を高めたと言えるのが左サイドバック(SB)の伊藤洋。唯一の2試合フル出場で左SBはこれまで“レギュラー”と言える選手がいなかっただけに、伊藤洋の起用法から見て今後の1番手となってくるだろう。また、右SBの菅原はドイツ戦でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)級の活躍。攻撃に関わるセンス、クロスでの好機演出など評価を上げた。最終ラインは板倉、冨安、菅原、伊藤洋で固まりつつありそうだ。

 誰もがプレーぶりに驚いた1人が毎熊ではないか。A代表デビュー戦で堂々とした立ち振る舞いだけでなく、ワンタッチでかわして突破を図ったり、最後はクロスで中村敬斗のゴールをアシストしたりと持ち味を発揮できた。右SBの菅原が絶対的な存在になりつつあるなか、ポジション争いの候補として一気に躍り出た。

中堅のリオ五輪組がアピールに成功 遠藤、伊東、鎌田は“さすが”のプレー

<MF>
◎遠藤航(リバプール)↑
◎伊東純也(スタッド・ランス)↑
◎鎌田大地(ラツィオ)↑
◎三笘 薫(ブライトン)
◎守田英正(スポルティング)
◎久保建英(レアル・ソシエダ)
〇中村敬斗(スタッド・ランス)↑
〇旗手怜央(セルティック)
○堂安 律(フライブルク)
〇前田大然(セルティック)
△伊藤敦樹(浦和レッズ)
△田中 碧(デュッセルドルフ)
△川辺 駿(スタンダール・リエージュ)
△西村拓真(横浜F・マリノス)
△南野拓実(ASモナコ)
△相馬勇紀(カーザ・ピアAC)
△瀬古歩夢(グラスホッパー)
△川﨑颯太(京都サンガF.C.)
△川村拓夢(サンフレッチェ広島)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 MFで6月シリーズより評価を上げたのは、主将の遠藤、伊東、鎌田。リオ五輪世代で中堅になりつつある3人が実力を示した。遠藤はなぜリバプールに移籍したのかが分かる、ドイツ相手に何度もボールを奪い“デュエル王”ぶりを発揮。伊東はスピードで右サイドを制圧、2試合通して縦への突破力は日本の攻撃の軸ということを証明した。鎌田はドイツ戦のみの出場だったが、左サイドの三笘が厳しいマークにあうなかで、右サイドに寄りながらプレーをして逆サイドからの好機を作り出した。守備でもカバーに入る場所にセンスが光り、気の利いた守備ができることを見せた。

 中堅の頑張りに東京五輪世代の出来は今一つだったか。久保はドイツ戦でさすがの2アシストだったが、先発フル出場のトルコ戦では得意の右サイド起用ではなかったからか、“絶対的”とは言えなかった。堂安もコンディション不良があったなかで、光るプレーがほしかった。そのなかでトルコ戦2ゴールの中村敬は絶対的な左MF三笘の控えとして1つ評価を高めたと言える。攻撃陣として魅力的な決定力の高さ。難敵相手にそれをしっかり示して見せた。

熾烈な1トップ争いで主軸候補の誕生

<FW>
◎上田綺世(フェイエノールト)↑
〇浅野拓磨(ボーフム)↑
〇古橋亨梧(セルティック)
○前田大然(セルティック)
△町野修斗(ホルシュタイン・キール)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 FWは上田がドイツ戦で圧巻のプレー。献身的なポストプレーで攻撃に厚みをもたらした。上田があれだけのポストプレーをしてくれれば、日本としては強豪を相手でもかなり戦いやすくなっており、苦しくなったら上田へ―から展開が生まれていた。これまで熾烈だった1トップ争いで大きくリードを取ったと言える。ドイツ戦で点を取った浅野もスーパーサブとして完璧な役割。古橋はトルコ戦で持ち味を発揮したが、決定力で差が出た。

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