森保ジャパン、6月シリーズ後の「最新序列」 久保VS伊東の右ウイング争いは?…起用法&パフォーマンスから考察
4-1-4-1システムで2連勝 収穫ある布陣と意図の感じる起用法に
第2次森保ジャパンは、エルサルバドル代表、ペルー代表と対戦した6月シリーズで2連勝を飾った。今回は初招集のDF森下龍矢(名古屋グランパス)や追加招集されたMF伊藤敦樹(浦和レッズ)らにも出番が与えられた。一方でMF三笘薫(ブライトン)は2戦連続で先発するなど、絶対的な信頼も感じた。そんな6月シリーズを受けて、招集されたメンバーから今回の2試合の起用法、パフォーマンスを受けて最新序列を考察。6月シリーズで明確に森保一監督の評価を上げたと考えられる選手は「↑」を付けた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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◇ ◇ ◇
<GK>
〇シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)
〇大迫敬介(サンフレッチェ広島)↑
〇中村航輔(ポルティモネンセ)↑
△谷 晃生(ガンバ大阪)
△権田修一(清水エスパルス)
△川島永嗣(ストラスブール)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補
3月シリーズで2試合連続フル出場で起用されたシュミットは今回出番なし。守護神の筆頭格であることは間違いないなかで、大迫、中村航にチャンスが回ってきた。エルサルバドル戦で先発した大迫は、相手が序盤に退場者を出したことでなかなか見せ場はなかった。中村航はミドルシュートに反応するなど好セーブでアピール。1失点はGKからすると致し方なしだった。3月終了時点では足もとが正確なシュミット1人が今後を牽引する存在になると思われていたが、久しぶりの招集となった中村航含めて横一列で競争は激化する。一方で過去ワールドカップ(W杯)の守護神だった権田や川島へのチャンスは少ないだろう。今回は未招集だが、東京五輪世代の谷はレギュラー争いするポテンシャルがあるだけに、クラブでの出来次第では割って入ってくる可能性がある。
最終ラインは全体的に合格点 左SBは争い激化
<DF>
◎板倉 滉(ボルシアMG)↑
◎谷口彰悟(アル・ラーヤン)↑
◎菅原由勢(AZアルクマール)↑
○伊藤洋輝(シュツットガルト)↑
〇森下龍矢(名古屋グランパス)↑
〇冨安健洋(アーセナル)
○中山雄太(ハダースフィールド・タウン)
△相馬勇紀(カーザ・ピアAC)
△酒井宏樹(浦和レッズ)
△瀬古歩夢(グラスホッパー)
△吉田麻也(シャルケ)
△バングーナガンデ佳史扶(FC東京)
△橋岡大樹(シント=トロイデン)
△山根視来(川崎フロンターレ)
△長友佑都(FC東京)
△半田 陸(ガンバ大阪)
△角田涼太朗(横浜F・マリノス)
△町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)
△藤井陽也(名古屋グランパス)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補
DFでは板倉と谷口のセンターバック(CB)コンビが安定感抜群。負傷で離脱している冨安の復帰が見通し立たないだけに、2人が主軸になっていくだろう。局面の強さ、経験も申し分ない。特に東京五輪世代の板倉は次のW杯時もまだ29歳で、主将のMF遠藤とともにプレーでチームを引っ張っていく存在になっていくはずだ。今回の2試合は1失点で、最終ラインとしては合格点。CBの2人を軸に両サイドバック(SB)はチャレンジ要素が見られた。
評価をかなり高めたのは右SBで2試合連続のスタメン起用された菅原。3月シリーズから4試合連続の先発で、エルサルバドル戦での久保と、ペルー戦での伊東との連係で縦への推進力を発揮した。右SBの控えが本職でない相馬だったことも踏まえると、菅原は1歩抜きん出たと言えるだろう。
左SBでは森下と伊藤洋が先発起用されるなかで、それぞれ良さを出した。エルサルバドル戦で起用された森下がリードしたかと思われたが、その後のペルー戦で伊藤洋も持ち味を出して初ゴールも奪った。左SB争いは激化し、三笘の第1相棒候補探しは9月シリーズに持ち越しか。負傷で長期離脱を強いられた中山が代表復帰する可能性も高く、ますますより秀でたアピールが必要になるポジションだ。
三笘と守田は今後も絶対的な存在に 右ウイングの久保と伊東は…
<MF>
◎三笘 薫(ブライトン)↑
◎守田英正(スポルティング)↑
◎久保建英(レアル・ソシエダ)↑
〇旗手怜央(セルティック)↑
○堂安 律(フライブルク)
〇遠藤 航(シュツットガルト)
〇鎌田大地(フランクフルト)
〇伊東純也(スタッド・ランス)
△川辺 駿(ウォルバーハンプトン)
△伊藤敦樹(浦和レッズ)
△西村拓真(横浜F・マリノス)
△田中 碧(デュッセルドルフ)
△中村敬斗(LASKリンツ)
△南野拓実(ASモナコ)
△相馬勇紀(カーザ・ピアAC)
△瀬古歩夢(グラスホッパー)
△川﨑颯太(京都サンガF.C.)
△川村拓夢(サンフレッチェ広島)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補
今回のシリーズは4-2-3-1ではなく、4-1-4-1を採用。アンカーに起用された、守田、遠藤は中盤に安定感をもたらしたと言える。そのなかでも2試合に出場した守田は森保監督の評価の高さを感じられる起用法だ。ダブルボランチであっても、守田が主軸になってくるだろう。インサイドハーフは旗手が評価を高めたか。左ウイングの三笘との連係も元同僚というだけあり、申し分ない。新境地を切り開いた新10番の堂安、鎌田もゴールへの意識を感じられるプレーだった。オプションの選択としてかなり幅が広がり、収穫の多かった6月シリーズだ。一方で川辺や伊藤敦は出場時間も短く、アピール不足となってしまった。初招集のパリ五輪世代MF川﨑は合宿直前の負傷で出遅れたことが痛かった。
右ウイングの久保はエルサルバドル戦で圧倒的な活躍。シーズンでの好調そのまま、日本代表でも主力として自信に満ち溢れ、堂々とした姿を見せた。伊東の縦への突破力も健在。堂安も候補には挙がるが、久保と伊東の争いで先発の軸は久保になると見られる。伊東はスーパーサブとしてでも、かなり相手の脅威となるだろう。
左ウイングは三笘が頭一つ抜けている。中村敬もゴールを決めたが、絶対的な存在は三笘になるだろう。三笘と久保、三笘と伊東という組み合わせで試したことからも、ウイングで最も評価が高い存在と言える。
これまで日本代表を支えてきた南野は来季の活躍次第ではあるが、厳しい状況に追い込まれた。
まだまだ解決したとは言い難い1トップ争い
<FW>
〇上田綺世(セルクル・ブルージュ)↑
〇古橋亨梧(セルティック)
○前田大然(セルティック)
△浅野拓磨(ボーフム)
△町野修斗(湘南ベルマーレ)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補
FWは上田が待望のA代表初ゴールを挙げ、秀逸なポストプレーで魅了した。負傷離脱は残念で、ペルー戦でも見たかったところ。それでも、スケールの大きさから代表の中心として考えられていることは間違いない。ペルー戦で先発した古橋は決定機があっただけに決め切れず、代表1トップの座を自らの手で引き寄せることはできなかった。前田は意地のゴール。ただこれまでの評価から特別に高まったかと言われると、現状維持となるだろう。浅野にとっては厳しい6月シリーズとなってしまった。1トップ争いでは上田が半歩ほどリードか。それでもまだまだ確約された活躍をした選手というのはいないだろう。