データが実証する「本田外し」の妥当性 日本代表のパスワークへの関与は全盛期の“20%”に低下

本田に集まったパスはわずか6%弱

図2

 まず、今回のデータ分析で使用している「Instat」社は、世界中のプロリーグの試合をカバーしており、毎週1000試合以上のデータを生成している。そこで各選手のパフォーマンスを客観的に測るためにいくつかのデータを組み合わせて、「Instat Index」という独自の指標を作っている

 本田のオマーン戦におけるInstat Indexは242ポイントで、チーム6位という平凡な数字になっている。ちなみに同データのこの試合でのチームトップ3は、1位が大迫の349ポイント(61分)、2位がMF清武弘嗣で305ポイント(68分)、3位はMF永木亮太の266ポイント(71分)だ。ここで記したカッコ内の数字は出場時間であり、本田のポイントが低いのは61分という出場時間の短さとは関係ない。

 かつて本田は、日本代表の1試合における総パス数の30%以上に関与するほど、チーム内で絶大な存在感を放ったパスの受け手であり、出し手でもあった。現在所属するミランで出場機会が十分にあった頃は、日本代表戦でも常にチーム1位、2位の“パス集配地点”となっていたが、ミランで出場機会を減らすのと呼応するように代表チームでもその影響力が低下しつつある。

 オマーン戦においては、総パス数のうち本田に集まったのはわずか6%弱と、全盛期の「5分の1」という現実が明らかになった。この日の試合で本田が受けたパス本数は、出場選手中7番目で、出したパス本数も8番目。敵陣を攻略する役割を担う、2列目サイドの選手データとしてはかなり低い数値だ。

 本田自身は一つ上のレベルの役割として、相手を引き付ける役割を担っているとの考え方もあるかもしれない。しかし本田の攻撃チャレンジ数(10回)を見ると決して少ない数ではなく、むしろここだけは齋藤(11回)に次いでチーム2位の数値を叩き出している。つまり、自分でなんとかしたいというチャレンジの意識は高いものの、ボールがそれほど集まらない。ボールに関わりながらリズムを作っていくタイプの選手にとって、チームとしてボールが回っているのに自らのタッチ数が増えないというのは、ストレスが溜まる状況のはずだ。残念ながら、チームにとっても本田にとっても、必ずしも望ましい状況ではない。

 それではこのオマーン戦で、本田に代わって日本代表の攻撃にアクセントを加えたのは誰だったのだろうか?

 

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