遠藤保仁の“30周年”はまだ先に J1昇格を目指す磐田で奮闘するベテランMFの真の姿

磐田でプレーする遠藤保仁【写真:徳原隆元】
磐田でプレーする遠藤保仁【写真:徳原隆元】

【識者コラム】いわき戦で遠藤は後半18分までプレー

 JリーグMVPの境地。ジュビロ磐田MF遠藤保仁の“30周年”はこの先にある。

 磐田は4連勝をかけて、5月21日にJ2リーグ第17節にヤマハスタジアムでいわきFCと対戦。Jリーグ30周年のMVPに選ばれた遠藤を軸に、前半は70%を超えるポゼッションで押し込んだが、いわきの粘り強い守備の前になかなか決定機を作れず。前半45分には遠藤の絶妙なスルーパスに抜け出した藤川虎太朗の折り返しに上原力也が合わせたが、いわきのブロックに阻まれた。

 スコアレスのまま、守備面でも貢献が見られた遠藤は後半18分に交代。終盤には古川陽介の仕掛けを起点に、ドゥドゥが目の覚めるようなミドルシュートで待望の先制ゴールを奪ったが、後半アディショナルタイムに入る直前、課題のコーナーキックからいわきDF遠藤凌にヘッドで決められて、4連勝を逃した。

「30周年を振り返って、全部に僕が関わっている訳ではないですけど、自分の中でも26年目。25年は完璧過ぎたので(笑)、そのなかで選んでいただいたのを嬉しく思いますし、こうやってピッチに立っているのもいろんな人の支えだったり教えがあったからだと思っています」

 そう振り返る遠藤は勝ち点「3」を逃したことについて「時にはこういう試合も…本当はあってはいけないですけど、シーズン通せば必ず来る」と語る。磐田は、昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)で日本代表コーチを務めた横内昭展監督の1シーズン目。経験豊富な遠藤も「少しずつ攻守両面で良くなってきている」感触はあるようだ。

「ゆくゆく、この引き分け、勝ち点1がね、重要だったと言えるような形にしていきたい」

 43歳の遠藤は現役選手としての区切りとなる時期を明言していない。改めて「これからも良いパフォーマンスをできる限り出しながら、またいろんな人に見てもらえるように頑張って行きたい」と意欲を見せている。磐田の目標はJ2優勝とJ1昇格だが、それは遠藤が再びJ1の舞台に立つこととイコールであるはず。

 サッカーを楽しみ、観るものを楽しませる。それができる限り、遠藤のサッカー選手としての冒険は終わらない。Jリーグ30周年のMVPに輝いたが、彼自身の30周年はまだまだ先にある。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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