U-20日本代表、W杯で飛躍し得るタレントは? アジア杯で名を上げた「粒揃い集団」

U-20アジアカップで準々決勝まで進んだU-20日本代表【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】
U-20アジアカップで準々決勝まで進んだU-20日本代表【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】

U-20アジアカップ準決勝で敗退も熊田、松木、永長らが存在感示す

 若き日本代表はアジアの頂点こそ逃したが、確かな輝きは見せた。5月のU-20ワールドカップ(W杯)アジア予選を兼ねたU-20アジアカップで、日本は準決勝でイラクにPK負けを喫した。3月18日に行われた決勝戦では、もう1つの準決勝で韓国を下した開催国ウズベキスタンがイラクに1-0で勝利して初優勝。この4チームがアジアの代表として世界の舞台に臨む。

 今年のU-20W杯はインドネシアで開催されるため、このアジアカップでインドネシアを除く上位4チームが出場権を得られるレギュレーションだった。インドネシアはグループステージで敗退したため、4つの準々決勝が実質的に代表決定戦となるプレッシャーの懸かるものに。そのゲームで日本はヨルダンを2-0で下していた。

 その大会で得点王に輝いたのが、FC東京所属のFW熊田直紀だった。大会初戦の中国戦でチームを逆転勝利に導く2ゴールを奪ったストライカーは、5試合で5ゴール。ヨルダン戦、イラク戦でもゴールを奪うなど、ここぞという場面でゴールを決められるメンタル的な強さも見せた。183センチの身長以上に高さを感じさせるような安定感のあるフィジカルと、強烈な左足シュートは日本サッカー界が待望しているストライカー誕生を感じさせる。

 また、そのFC東京の同僚でもあるMF松木玖生はキャプテンとしてチームをまとめた。青森山田高校では1年生からレギュラーに君臨し全国高校サッカー選手権などで活躍。昨季加入のFC東京では高卒ルーキーながら定位置を掴んで存在感を放った逸材タレントは、今大会でその経験を生かしたプレーを見せ、グループステージ第3戦のサウジアラビア戦では2ゴールを奪った。世界に挑むU-20W杯でも、彼を中心にチームを作っていくことになるだろう。

 そして、スーパーサブ的な要素もある印象的なプレーを見せたのは、川崎フロンターレ所属のMF永長鷹虎だった。右サイドから独特の間合いとリズムで攻撃に関わるレフティーで、その名前と語呂からも所属チームの中心選手であるMF家長昭博のプレーを連想させるものがある。後半から出場したイラク戦では1点ビハインドの後半38分に同点ゴールを奪い、さらにもう1度リードを許した延長戦での後半ラスト3分で右サイドから仕掛けて熊田にドンピシャのクロスで同点ゴールを導くアシストを記録するなど勝負強さも見せた。

U-20日本代表からA代表へ上り詰める選手は現れるか【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】
U-20日本代表からA代表へ上り詰める選手は現れるか【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】

U-20W杯→A代表入りへ飛躍のキッカケを掴めるか

 ほかにも昨季のルヴァンカップでニューヒーロー賞を受賞した実績を持ち「10番」を着けたセレッソ大阪のFW北野颯太や、初戦の中国戦で熊田の2ゴールをいずれもアシストしたファジアーノ岡山のMF佐野航大も興味深いプレーを見せた。すべて中2日の5試合という厳しい環境で選手たちを入れ替えながら起用して大会を勝ち上がっていった日本だが、その意味では粒揃いの力を持つ選手たちの集団という印象も残した。

 日本のU-20W杯は、1999年(当時ワールドユース)にMF小野伸二らを擁して準優勝を果たしたのが最高成績。2021年は新型コロナウイルスの影響で開催がなかったが、17年大会出場選手からはDF冨安健洋、DF板倉滉、MF堂安律、MF久保建英が、19年大会からはDF伊藤洋輝が昨年のカタールW杯の代表に名を連ねた。この選手たちはいずれも現在ヨーロッパでプレーしているが、キャリアのなかでも重要なステップになる大会とも言える。アジアの頂点に立つ野望こそ叶えられなかったが、世界の舞台で重要な経験を積みつつ好成績と飛躍のキッカケを掴むことが期待される。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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