清水&磐田、“魔境”のJ2突破→J1復帰の可能性は? 前線は最強レベル、充実のCB陣…昇格へ“理想のシナリオ”考察

現在の完成度は清水が明らかに上、磐田はベース作りの段階に

 最大のキーマンはJ3ギラヴァンツ北九州から復帰したMF針谷岳晃だ。いわゆる“東京五輪を逃した東京五輪世代”の1人で、同じ境遇からJリーグで飛躍的な活躍を見せるFW小川航基(横浜FC)やDF大南拓磨(川崎フロンターレ)にも大きな刺激を受けている様子だ。ボランチのポジションが主戦場となるが、クロアチア代表MFルカ・モドリッチのように、流れに応じて幅広く顔を出しながら、テンポ良くチャンスの起点を作る。そうした働きはもちろん、セットプレーのキッカーとしても期待される選手だ。

 2月4日に鹿児島で行われたトレーニングマッチの結果(45×4本、合計3-1で清水が勝利)どおり、現在の完成度は清水が明らかに上で、横内新監督の磐田はベース作りの段階にあることが象徴された結果と内容だった。しかし、チームは生き物で、シーズンは長い。清水が順調にスタートダッシュを見せるのか、磐田が尻上がりにチーム力を上げて、昇格圏内に食い込んでいけるのかなど、興味は尽きない。

 最終的な静岡勢のワンツーフィニッシュも十分にあり得るが、ライバルクラブは侮れない存在ばかり。昨シーズン、プレーオフで惜しくも昇格を逃した岡山、山形、大分トリニータ、ロアッソ熊本に加え、積極補強のFC町田ゼルビアなど強者が揃う。もう1つの“静岡勢”藤枝も両チームとの対戦ではタフな相手になりそうだ。第5節の静岡ダービーが最初の山場になるが、再び静岡の地から日本サッカーを盛り上げていく戦いを期待しながら見守りたい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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