シュツットガルト遠藤航への依存度が高くなりすぎている? 多岐にわたる仕事と多大な貢献…攻守を支える“オーガナイズ力”

シュツットガルトMF遠藤航【写真:ロイター】
シュツットガルトMF遠藤航【写真:ロイター】

【ドイツ発コラム】遠藤がキャプテンとして意識する修正点「突き詰めなきゃいけない」

 ドイツ1部シュツットガルトでキャプテンを務める日本代表MF遠藤航の仕事は多岐にわたる。

 中盤センターに生まれるスペースを絶えずカバーしながら、ポジショニングと相手との距離で危険なエリアへのパスコースを消し、パスの出どころを見切ってインターセプトを試みる。さらに素早く寄せてボールを奪い、奪い返されずにボールを前へ運び、前線の選手へつなぎ、そこから前へ出ていき、ゴール前へと入っていく。

 多大な貢献をしている一方で、遠藤への依存度も高くなりすぎているのかもしれない。1-3で敗れた第13節ボルシアMG戦では前半の序盤、相手にプレッシャーをかけられずに苦しんでいた。下がり目にブロックを作って相手を待ち受ける戦略を取るのはいいとして、シュツットガルトのオフェンス陣が相手選手への距離を詰めず、パスコースを消せずにいれば簡単にパスを回されてしまう。

 たまらず遠藤が前に出てボール保持者に寄せようとするが、ほかの選手が感じ取っていないため、呼応してそこからのパスコース消しやプレスの準備、遠藤が明けたスペースを埋める動きがなく、ピンチを誘発してしまう。

 1失点目は左サイドからパスをつなぎながら構築してきたボルシアMGの攻撃に対して、ボランチの遠藤が同サイドのカバーに動いた裏を上手く突かれた形で奪われている。サイドの深いところへボールを運ばれた際には、守備ライン前のスペースを完全にケアするのが鉄則だ。

 だがこのシーンでシュツットガルトはあまりにも危機感が足らない状態でクロスに対応してしまった。ドイツ代表MFヨナス・ホフマンに侵入を許し、フリーで右足ボレーをゴールに叩き込まれた。シュートが素晴らしかったというのもあるが、ああもやすやすシュートシーンに持ち込まれるのはいただけない。

「センターバック(CB)が行くのか、自分が行くのかみたいなところであんまりはっきりしないところがあった。相手の3トップに対して、誰がどうなったらどうカバーするかみたいなところは、もうちょっとチームとして突き詰めなきゃいけない。僕があそこに(サイドへ)行くこと自体は2ボランチなんで悪いと思ってないですけど、自分が行くならもっとアプローチしなきゃいけないし、コースを切ってなきゃいけない。CBが来るかなみたいなところでちょっと遅れたところもある」(遠藤)

 キャプテンとしてどのように修正していくべきか。自身のプレーをさらに研ぎ澄まし、守備における約束事をチーム内で明確化する大切さを口にしていた。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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