日本代表の“長所が出やすい”ドイツ戦 W杯グループ初戦は格上も「やりにくい相手ではない」

組み立てに恐さがさほどないドイツ、状況次第でミドルゾーンまで引くのもあり

 ある程度、相手の勢いが落ちてきたら自陣からパスをつないで押し返さなければならない。その時にドイツのハイプレスを空転させられるかどうかが鍵になる。ボール奪取地点は低くなるので、GKを使ったビルドアップやFWにロングボールを収めてもらって押し上げるパスワークが問われる。どちらも日本があまり得意ではない分野ではあるが、そんなことは言っていられない。勇気を持ってやり切るしかないだろう。

 失点をしない、特に自陣で失わないことが重要だが、それだけでは勝てないわけで、得点のためのポイントは逆にドイツのビルドアップを寸断してショートカウンターを仕掛けることになる。ただ、ドイツもハイプレス回避は手の内に入っている。GKを経由させて、サイドに長いパスを送りハイプレスを逆手にとってひっくり返すのが常套手段だ。

 前方からの追い込みと、サイドの競り合いに負けないこと。これもなかなかハードルは高いかもしれないが。無理そうなら、切り替えてミドルゾーンまで引けばいい。組み立てに恐さがさほどないので、そちらのほうがむしろ安全かもしれない。3戦目のスペインが相手だと、おそらくハイプレスはリスクにしかならないが、ドイツはうまくすればボールを奪える。ただ、無謀にプレスすれば逆にカウンターされるので、そのあたりの線引きを明確にしておく必要がある。

 ドイツに勝つのは難しい。ただ、守勢の試合のほうが日本の長所は出やすく、やることがはっきりしているので迷いもない。格上ではあるがやりにくくはない。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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