森保監督の目に浮かんだ涙と険しい表情 日本代表を率いる指揮官の胸に去来したものとは?

悩んだ末に導き出されたメンバー構成を告げ、険しい表情から一転して笑顔も

 ただ、この困難な選別の作業から生まれる、さまざまな思いが交差するプレッシャーは、森保監督だけでなく歴代の指揮官の誰もが経験したことである。かつては招集、選外となった選手への説明を嫌ってか、メンバー発表の場に姿を見せなかった監督もいた。だが、普段は温厚な森保監督が見せた険しい表情は、ここまで一緒に戦ってきた選手たちを思い、そして悩んだ末に導き出されたメンバー構成が、絶対に正しいのだという覚悟をも感じさせた。

 会見終盤には思いの丈を伝え切った安堵からか、険しい表情から一転して笑顔も見られた森保監督。これでメンバーも決まり、いよいよW杯本大会への戦いが始まる。

 目標は日本サッカーがいまだ到達していないベスト8以上と語っていたが、最高の高みを目指して臨んでもらいたいと願う。目標は思い描く本人がその実現への可能性を考えた時、誰よりも大それたことと感じるほどの野心であっていい。それくらいの大望を持ってこそ、W杯というサッカー界最高峰の大会に参加する意味があるというものだ。

 世界各国からやって来るサポーターたちは、4年に一度開催される世紀の祭典の熱狂に身を委ね、ハイレベルな選手たちの競演に心を躍らせる。この大舞台で日本が輝きを放つことができるかは、26人の精鋭たちと何よりも指揮官の手腕に懸かっている。

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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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