フライブルク堂安律が信頼を勝ち取った背景とは? 監督絶賛「プロフェッショナル」…コミュニケーション能力と移籍の重要ポイント

堂安「ナイスガイばっかり」 監督も太鼓判「チームに完全に溶け込んでいる」

 クリスティアン・シュトライヒ監督に、堂安のチーム内における受け止められ方について直接尋ねてみたことがある。シュトライヒは満足げに頷きながら、次のように語ってくれた。

「リツには非常に満足している。彼は成長プロセスの中にいる。多くのことを学んでいるし、やるべきことへ非常に興味を持って取り組んでいる。多くの質問をしてくるし、ビデオ分析にも精力的だ。非常にプロフェッショナルな姿勢を見せてくれている。チームに完全に溶け込んでいるし、彼自身もここを居心地良く感じている。選手は彼を温かく迎えて入れているし、彼はとてもオープンな人柄だ。たくさん話をするし、ディスカッションをする。彼のような選手、人間とともに仕事ができることは喜ばしいことだよ」

 フライブルクではチームとしての関わりが非常に大事にされている。それぞれの選手がチームのために何ができるかを考えることを大切にする。だから新加入選手が来たらとても温かく向かい入れ、困ったことがあったら自然と助ける関係性が築かれる。

 堂安もそうしたクラブの雰囲気の良さを感じている。

「移籍はかなり多いタイプなので、(移籍には)慣れています。特別なことはしてないですけど、(フライブルクは)すごくいい選手、ナイスガイのやつばっかりなので。コミュニケーションを取ってしっかりやっていきたいです」(堂安)

 試合中も言葉にしながら、ジェスチャーを交え、コミュニケーションを頻繁に取っている様子が窺える。ボールが来なければ要求するし、ミスをしたら素直に謝る。そしてまたチームのために走り、戦う。そんな堂安だから、選手や指揮官だけではなく、ファンからの信頼もすぐに厚いものとなった。

 クラブとしてどのような雰囲気作りをしようとしているのか。監督はどんな空気感を大事にしているのか。選手1人1人に何を求めているのか。

 移籍に際してはそうした要素もとても大切だというのを改めて考えさせられた。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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