日本代表の先発総入れ替えはやりすぎ? 「巧い、速い、強い」の選手分類に見る編成問題…機能不全の一因は“強度”不足

エクアドル戦でメンバー総入れ替えした日本代表【写真:Getty Images】
エクアドル戦でメンバー総入れ替えした日本代表【写真:Getty Images】

【識者コラム】W杯も想定したターンオーバー、エクアドル戦で攻守ともに課題

 日本代表の欧州遠征は1勝1分。2-0で勝利したアメリカ戦から中3日のエクアドル戦は0-0だった。この試合で、森保一監督は先発メンバーを総入れ替えしている。いわゆるターンオーバーだ。

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 カタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグは中3日で3試合が行われる。さらにラウンド16も中3日ないし4日というハードスケジュールだ。これまでと比べると移動負担は軽いが、事前合宿もほぼ組めないので、コンディションを考えるとある程度の選手の入れ替えは必要になると想定される。

 今回の欧州遠征はターンオーバーのテストでもあったわけだが、総入れ替えはやりすぎだったかもしれない。

 アメリカ戦とは差のある内容となった。相手のエクアドルの個人技術がアメリカよりも上だったという事情はあるとはいえ、日本がアメリカ戦で上手くいっていたハイプレスとビルドアップの両方とも機能しなかった。とくに前半はハイプレスで奪えず、ビルドアップはミスを連発していた。

 上手くいかなかった理由の1つは単純に強度が足りなかったからだと思う。

 巧い、速い、強い。選手の特徴を3つに分けてみると分かりやすいかもしれない。アメリカ戦の先発メンバーで10人のフィールドプレーヤーのうち「強い」特徴がないのは久保建英だけだった。前田大然は速くて球際に強い「速&強」、伊東純也も同じタイプである。鎌田大地は「巧&強」、そして久保は「巧&速」。守田英正、遠藤航のボランチコンビは「強&巧」、酒井宏樹が「速&強」、中山雄太「巧&強」、吉田麻也「強&巧」。冨安健洋は「巧・速・強」の三拍子揃った選手である。

 一方、総入れ替えしたエクアドル戦は「強」を特徴とした選手が少ない。古橋亨梧と三笘薫は速くて巧いが強さを特徴としていない。山根視来も同様の分類だろう。柴崎岳は「巧」しかない。球際の強さを特徴としない選手が4人もいたことになる。現在の日本が指向するプレースタイルにはあまり合っていない人選になっていた。ターンオーバーがダメというより、選手の組み合わせも含めて編成に問題があった。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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