堂安律、なぜ飛躍のシーズン序盤に? 「リツはもっと良くなる」とドイツ記者喝采、ビーレフェルト時代からの明らかな変化とは

満足せず先を見据える堂安律【写真:Getty Images】
満足せず先を見据える堂安律【写真:Getty Images】

「全然満足してないです」順調な船出も失わない貪欲な姿勢

 リーグで2点、ドイツカップで1点、ヨーロッパリーグでも1点とそれぞれの大会でゴールを記録。オフェンスの選手だ。ゴールという結果を残すことで周囲からの信頼だけではなく、自信だって高まっていく。

堂安「(どの試合でも)メンタリティーは変わらずにピッチに立っている。どの大会でもゴールを決めたいし、どの大会でもピッチに立ちたい。次の試合もしっかり準備したいと思います」

 得意な形に磨きがかかっている。9月8日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)カラバフ(アゼルバイジャン)戦では右サイドでボールを受けると相手DFの間をぶち抜いてドリブル突破し、そのまま左足でゴール左へ見事に決めた。

 ここまでは相当順調にきている。でも堂安は「ただ全然満足してないです。もっと周りを驚かせるような活躍をしたいと思います」と貪欲に自分のさらなる成長と向き合っている。

 カラバク戦の3日後に行われたボルシアMG戦でも似たような形から好機を掴む。開始2分だ。左SBクリスティアン・ギュンターのクロスをトラップして左足で鋭いシュート。だが枠をわずかに外してしまった。

 試合後地元紙の取材に英語で「いいチャンスがあったけど、最後のところでクオリティーが足りなかった。全体的にいい試合だったと思う。パフォーマンスには満足」と答えていたので、「最後のクオリティーというのは具体的にどうしたところを意味するのか」というのを尋ねてみた。

堂安「まさにさっき言った自分の得意なシュートのコースもあります。(試合では)あそこで1チャンスあるかないかなので。ああいうのを決めないときついですし、あれがあるから自分はピッチに立っていると思っている。あそこのクオリティーは上げていきたいと思います」

 そして「もっと周りを驚かすようなプレーがしたい」と力強く話していた。良いプレーで満足するつもりはない。惜しいプレーでごまかすつもりもない。相手に脅威を与え続けられる選手となるために、堂安は走り続ける。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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