元主審・家本政明氏が語る日本サッカー、“レフェリー目線”で見た変化とは? 「かなり激しく戦えるようになった」
【専門家の目|家本政明】海外組の増えた日本代表の成長を実感、森保Jの特徴も考察
森保一監督率いる日本代表が9月に欧州遠征(23日にアメリカ戦、27日にエクアドル戦)を予定しているなか、日本対アメリカ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。国内外で審判経験のある家本氏にJリーグと国際大会の違い、森保ジャパンの印象などについて語ってもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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まず家本氏が触れたのは、Jリーグと国際大会の違いについてだ。家本氏は「近年はJリーグのフィジカルコンタクトもかなり激しくなって、国際試合を見ていても、以前より遜色なく戦えるようになってきたと思います」と、日本サッカーの成長について一定の評価を与えた。
その一方、「海外の選手たちに比べると、まだフィジカルコンタクトで『当たり負けている』のか、『反則なのか』という見極めのところが、Jリーグの判定とは少し変わってくるところがありますね」と、現実的な差も指摘している。
そうしたなかで家本氏は、ヨーロッパ組の多さが“日本の利点”になり得ると続ける。
「今の日本代表の選手は、ヨーロッパでプレーしている選手のほうがすごく多い。遠藤航選手(シュツットガルト/ドイツ1部)は、ドイツの中でも『デュエル王』という評価をもらっている。ブンデスがすべての基準とはならないとは思うが、プレーのインテンシティーの強度や球際の激しさ、タイミングなど、今までの日本代表の中では、分かっている選手たちがすごく多い。
例えば、以前だったら飛び込んでしまってファウルになる、あるいは当たり負けてファウルをもらうようなシーンが多かったと思いますが、多くの選手がヨーロッパでプレーしているからか、そのあたりの勘所はよく分かっているなと思います」
さらに、森保ジャパンの印象を聞くと、「三笘(薫)選手(ブライトン/イングランド1部)もそうですが、テクニックやスピードがある選手が揃っている」と、プレミアリーグで研鑽を積むアタッカーの名前も出しつつ、攻撃陣のストロングポイントを列挙した。
「足の速い選手を集めているなと。相手にブロックを作られてどうしようもない時にも、対応できるテクニックある選手が多いので、そこは臨機応変にできるのではないかと思います。それが日本の特徴かなと個人的には思っています。テクニックや連動、一体感、スピード感が日本のアカッター陣の1つの魅力なのかなと思います」
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。