G大阪戦疑惑のPKはノーファウルが適正 ネイマールはなぜレフェリーを欺き続けることができるのか、元主審・家本政明氏が語るダイブの高等技術
【専門家の目|家本政明】G大阪との親善試合でのPKは「ノーファウルで良かった」
フランス1部パリ・サンジェルマン(PSG)のブラジル代表FWネイマールは、トッププレーヤーとして知られる反面、PK獲得を誘う“ダイブ”がこれまでも指摘されてきた。7月25日に行われた、日本ツアー最終戦のJ1ガンバ大阪戦(6-2)でも、PK獲得時の“疑惑のプレー”は反響を呼んだ。PKの判定は正しかったのか。ネイマールはなぜレフェリーを欺き続けることができるのか。2021年シーズン限りでサッカー国内トップリーグの担当審判員を勇退した家本政明氏に聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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フランス代表FWキリアン・ムバッペ、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシとともに世界最強の3トップで日本を沸かせたネイマール。PSGは日本ツアー3戦目となるG大阪戦の前半30分、海外メディアを騒がすシーンが起こった。ネイマールがペナルティーエリア内で仕掛けた際、G大阪DF三浦弦太のスライディングで倒れ込み、PKを獲得。冷静にこれを決めて、しっかりと得点を記録した。
ゴールライン際をえぐって左足で中央へ折り返そうとしたネイマールに対して三浦が足を投げ出して止めに行き、キックフェイントに引っかかる形となったが、映像ではネイマールとは接触していないようにも見える。その後、ネイマールが小さく飛んでピッチに倒れ込み、右足を押さえる格好になった。
スペイン地元紙「マルカ」は「ダイブは必要だったのか?」と疑問を突きつけ、地元ブラジルメディア「グローボ・エスポルチ」も「亡霊」と揶揄するほど、疑惑のプレーとなった。
果たして、PKという判定は正しかったのか。家本氏はこのシーンについて、「ポイントは3つです。まずはコンタクトがあるのか。2つ目はそのコンタクトは反則となるようなものなのか。3つ目は、そのコンタクトを利用して反則と見せかけていないか、になります」と語る。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。