目指すはバロンドール 新怪物FW中島大嘉、愚直なまでの向上心と素直さが生み出す脅威の“成長力” 

U-21日本代表のFW中島大嘉【写真:Getty Images】
U-21日本代表のFW中島大嘉【写真:Getty Images】

【識者コラム】実力とユーモアを兼ね備えた逸材「玖生に負けないぐらい有名になりたい」

「世間の人たちに騒がれる結果を提供できる。1つざわつかせたい」

 そう意気込んで臨んだU-21日本代表のFW中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)。しかし、5月11日に行われた全日本大学選抜との練習試合で、ゴールという目に見える結果を出すことはできなかった。

 今回のファーストチームと見られる1本目のメンバーで、4-3-3のセンターフォワードに入った中島。FW染野唯月(鹿島アントラーズ)とMF松木玖生(FC東京)がインサイドハーフに入る変則的な布陣だったが、大学の猛者たちを相手に押し込む展開となった。

 アンカーに入ったMF櫻井辰徳(徳島ヴォルティス)の展開から左ウイングのFW宮城天(川崎フロンターレ)のカットインや右サイドバックのDF成瀬竣平(ファジアーノ岡山)のクロスで大学選抜ゴールを脅かす。

 ボックス内で何度か危険な動きを見せた中島だが、急造チームの影響もあってか、周囲とのコンビネーションが合わず。サンフレッチェ広島の特別指定選手で、年代別代表の常連でもあるDF山﨑大地(順天堂大)などの奮闘もあり、多くのチャンスを作りながら1つもゴールを割ることはできなかった。

 試合は2本目に大学選抜が2得点を奪い、合計スコア2-0で全日本大学選抜が勝利。その瞬間には悔しさもにじませた中島だが、報道陣の前ではいつも通りの明るさを見せていた。

「点を取れてたら、試合を見てない人にも、もっとインパクトを与えられていた」

 そう語った中島だが「(松木)玖生に負けないぐらい有名になりたいです」と報道陣を笑いの渦に巻き込んだ。

 大岩剛監督が率い、パリ五輪を目指す代表チームに選ばれたのは初めてだが、2年前の12月に行われたU-18代表候補の合宿に招集され、松木とも一緒にプレーしていた。

「あの時は友だちが結構おったので。今回はテレビで見てる人たち。ああすげえって思って」

 長崎の国見高出身である中島は、2003年生まれの松木より1つ年上。当時のメンバーは高体連の選手も多く、同学年や下級生を相手に馴染みやすかったようだが、今回は「タツ(櫻井辰徳)と玖生のほかは知らなかった」という。

「みんなグループができてるので。自分、人の名前とか顔とか分からない。誰が年上で誰が年下か分からない。初め敬語で行くんですけど、馴染めてないかなと」

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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