森保ジャパンは「サッカー通のチームではない」 W杯本大会へ英国人記者が要求する“世界仕様の野心”

世界を驚かせるような野心を持てるか

 また、森保監督は自分のお気に入りの選手を頑なに起用し続けている。例えば、南野拓実は1試合に4、5回のチャンスをふいにすることが多いが、それでも先発メンバーの常連だ。長友佑都も年齢的な衰えがあっても、ほとんどスタメンで出場している。

 選手の入れ替えは、選手の状態が目に見えて良くない時だけ行われた。柴崎岳はサウジアラビア戦でのミスでポジションを失い、埼玉でのオーストラリア戦では田中碧が先発に名を連ねた。堂安律は伊東が地位を確立したことで序列を落とした。

 しかし、攻撃陣は何度も不発に終わり、監督が信じた才能とは裏腹のもどかしさを見せてきた。森保監督にとっては残りの数か月で取り組まなければいけない課題と言えるだろう。

 遠藤航は伊東と同様にチームに欠かせない選手だった。所属クラブのシュツットガルトでも、キャプテンとしてチームの中心的存在をなっている。チームを牽引する力や試合を読む力、パス能力、相手のプレーを遮断する力、これらすべてが日本代表のパフォーマンスを支えていた。

 中盤で柴崎や原口元気ではなく守田英正を優先的に起用したこともプラスに作用した。この予選におけるターニングポイントでもあった。

 ワールドカップ開幕まで約8か月。日本代表は4月1日の夜に行われる抽選会でグループリーグの対戦相手を知ることになるが、今問われているのは森保監督が予選で達成した成果をどれだけ発展させられるかどうか。指揮官は決勝トーナメントに進出するだけでなく、大きなインパクトを与えられるチームへ進化させることはできるだろうか。

 ワールドカップに7大会連続出場を決めた日本代表はすでに教育課程を終え、優勝候補の一角に食い込んでいくべき時が来ている。日本代表がワールドカップ優勝を意識してカタールに向かうことはないだろうが、世界を驚かせるような野心を持って旅に出る必要があるだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)



page1 page2

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング