森保ジャパンは「サッカー通のチームではない」 W杯本大会へ英国人記者が要求する“世界仕様の野心”
ベトナム戦は森保監督体制でのW杯予選を象徴
森保一監督率いる日本代表は3月29日、ホームで行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第10節ベトナム戦に1-1で引き分けた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、W杯を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、攻撃陣は指揮官の期待を裏切ったとの見解を述べている。
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この退屈な予選にふさわしい不安な終わり方だった。目標を失っていたベトナム相手に当落線上の選手を集めたスタメンで1-1と引き分けたこの最終戦は、森保監督の下で戦った予選全体を要約したようなものだった。
もちろん、最初の3試合でオマーンとサウジアラビアに敗れ、崖っぷちに立たされていた悲惨な状況を覆した監督と選手たちの功績は大きいに違いない。失敗が許されないプレッシャーの中で6連勝したことは、少なくともこのチームにスピリットがあることを証明した。
しかし、「やはり」というべきか、新しいことに積極的に取り込むようなサッカーはほとんど見られなかった。森保ジャパンは“サッカー通”のチームではないし、これからもそうはならないだろう。彼はジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)やマルセロ・ビエルサ(元リーズ監督)ではない。アンジェ・ポステコグルー(セルティック監督)のように自由に流れるようなサッカーをするわけでもない。
彼は必要最低限のものを提供し、その結果として日本を再びワールドカップに導いた。苦戦を強いられたこの予選の中で、“違いを作り出す男”として表れたのが伊東純也だった。
伊東は初め、試合終盤に流れを変えられる選手としてこの予選に参戦した。しかし、3月24日に行われた大一番のオーストラリア戦の頃にはチームシートに真っ先に名前を書かれるような選手へと成長していた。
これは、今予選における日本の攻撃について多くのことを物語っている。FW陣は優位性を最大限に生かす事ができず、もがき苦しむ場面があまりにも多かった。0-1で敗れた初戦のオマーン戦では息苦しいパフォーマンスに終始し、その代償として勝ち点3を失った。予選早々に攻撃陣に対する疑惑の種を撒いてしまったのだ。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。