シュツットガルトの心臓・遠藤航、「悪くはない」では済まされない“キャプテン”の使命

シュツットガルトでプレーするMF遠藤航【写真:Getty Images】
シュツットガルトでプレーするMF遠藤航【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】チームに求められる理想的なキャプテンとは?

 今季ここまでキャプテンとしてシュツットガルトを支えている遠藤航。スベン・ミスリンタートSD(スポーツディレクター)は地元メディアの取材に対し「もっとも一番重要だった補強はキャプテンだ。遠藤航はチームの心臓。間違いのないリーダーだ」と名指しで褒めた。

 では、キャプテンに求められる要素とは何だろうか。元ドイツ代表MFギュンター・ネッツァーが次のように定義していたことがある。

「理想的なキャプテンとはチームの信頼が寄せられていなければならない。信頼というのは困った時に頼れる存在ということだ。そしてそれはただの悩み相談ではなく、決して心地よくはないテーマについても話せる存在だ。

 キャプテンとはまずチームの延長された右腕であり、その図式が逆になってはならない。キャプテンの言うことすべてにチームが従うようになったらダメなのだ。そしてその関係性はピッチ外だけではなく、ピッチ内で相関図が見られなければならない。

 だからまず求められるのは卓越したパフォーマンス。チームを成功に導くために本質的なプレーで先陣を切って戦う姿。そしてチームに刺激を与えられなければならない」

 なぜ、指導者はキャプテンを必要とするのか。育成年代だと求められる要素もまた少し違う。キャプテンには仲間意識が強く、相手の立場をある程度考慮でき、普段からの友達関係の延長が求められたりする。プロの世界でももちろんそうした要素は大事だ。

 ただ、プロの世界で生き残るためには互いに助け合い、力を高め合えなければならない。馴れ合いに溺れることなどもってのほかで、それぞれの力を最大限発揮するために、時に厳しい立場が取れる人物も必要となる。

 そうして発言権が与えられるというのは、背負わなければならない責任も増す。苦難を受け入れ、仲間の防波堤となり、責任感のある立ち振る舞いで周りの仲間に自分たちが進んでいく道を照らし続けていく。そんな存在でいてくれたら、そこには間違いなく確かな信頼関係が生まれてくるだろう。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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