川崎の家長昭博が醸し出す“ベテランの妙” 「当たってもビクともしない」まるで柔道家のような“威圧感”は特筆もの

大器晩成というより早熟型、ベテラン年齢がしっくりくるタイプ

 ただ、さすが家長、やはり別格と褒められるようになったのはわりと最近だと思う。

 才能の大きさは十代のころから知られていた。しかし、何となく力を出し惜しみしているように見えたものだ。当初、五輪代表ではエース格だったし、日本代表にも選出されたが、「こんなものか」という評価だった。見ていて必死さが伝わらない。スペインのマジョルカでプレーしていた時も、明らかに上手いのに試合から消えていた。存在感がなかった。

 家長が真価を発揮したのはベテランの域に入った大宮アルディージャ時代だ。大宮では攻撃に専念したのが良かったようだが、考えてみればガンバ大阪でデビューした時から家長のプレーぶりはそんなに変わっていないようにも感じる。感情が顔に出ないし、そんなに走り回るわけでもない。若いころからベテランみたいだった。回り道もしたし、相当な苦労もしたに違いないのに、良くも悪くもプレーにそれはあまり表れていない。

 自分が十代のころ、早くオッサンになりたかった。十代の自分はあまりしっくりきていなくて、オッサン年齢のほうが居心地良いのではないか思っていたのだ。そして、実際にオッサンになってみると、やっぱりオッサンがしっくりした。家長は大器晩成というより早熟型だったが、選手としてベテラン年齢がしっくりくるタイプだったのかもしれない。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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