森保ジャパンは「タレントの無駄遣い」 英記者、中国戦の“冒険心なき”采配を疑問視

同グループのライバルが、日本に恐れを抱くパフォーマンスではなかった

 久保や大迫のシュートがポストを叩く場面はあった。中国は自陣ペナルティーエリア内に人を詰め込んでいた。それでも日本は時間と空間を作り出して攻略しなければならなかったが、この勝利は最低限の期待に応えるものにしかならなかった。

 DF長友佑都とDF室屋成は、前半のほとんどの時間帯でそれぞれのサイドを上下動する自由を与えられ続けた。中国は彼らに対して守備をする任務が免除されているかのようなプレーぶりだった。

 MF遠藤航とMF柴崎岳は、敵陣深くまで押し込むことが可能だった。DF吉田麻也とDF冨安健洋が問題に直面することは皆無に近く、GK権田修一は観客状態でいられた。久保はオマーン戦の日本に完全に欠如していた狡猾さと策略をチームにもたらして、前の試合でMF鎌田大地がいかに機能しなかったかを強調した。

 久保のハーフターンは、DFにとって悪夢だ。中国戦でも彼は最初のタッチで何度もDFを振り切り、素早くゴール前のスペースを見つけ出して、DFに影をも踏ませなかった。大迫との連係プレーは鋭く、最終ラインを切り裂いた。惜しむべくは、その回数が少なかったことだ。

 すべての条件が揃っていた。ハーフタイムの時点で、両チームの間にはもっと大きな点差がついているべきだった。それでも1-0でリードしていた日本は、余裕をもって勝利を掴めるはずだった。

 しかし突然、すべてが止まってしまう。流動性は消え、パスは道に迷う。MF古橋亨梧が膝を負傷し、MF原口元気に交代したことで、セルティックのアタッカーが左サイドにもたらしていたスピードが失われた。中国が改善するにつれて、日本は憶病になっていった。

 とてもではないが、これは同じグループ内のライバルたちが、日本に恐れを抱くようなパフォーマンスではなかった。オーストラリア代表のグラハム・アーノルド監督、サウジアラビア代表のエルヴェ・ルナール監督は、サムライブルーとの対戦を前に、この試合の映像を繰り返しチェックする必要も、眠れなくなることもなくなった。

 この日本は締まりがない。この日本には優位に立てる。そして、すでにオマーンが証明したように、この日本は十分に倒せる、と――。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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