積極補強の清水、巻き返しなるか “20歳”新加入MFの輝きと“既存戦力”が放つ意地

松岡は評判通りのプレーで中心的な存在になる予感

 ただ、ロティーナ監督が試合前日に話していたような展開とはならなかった。シュート数は7対23と圧倒され、ボール支配率も34%と低い数字となり、中断前の内容とさほど進化しているようには見えなかったが、試合後にロティーナ監督は「やって来たことが横浜FMのような強い相手、オフェンシブな力のあるチームに簡単に出せるわけではない」と話し、「日々のトレーニングで成長していくということを続けていくべきであり、今日は難しい相手によく戦った」と、この勝ち点1を前向きに捉えていた。

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 加入後即先発出場した松岡はその評判通りのプレーを清水でも見せてくれた。後半こそ少し目立つ場面は減ったが、常に声を出して球際にも厳しく行き、チームを鼓舞していた。走行距離も両チームを通じてトップの距離を走り切り、早くもチームの中心的な存在と言っても過言ではないプレーだった。「20歳の加入間もない選手が中心選手?」と思われるかもしれないが、それだけの選手をそれだけの費用をかけて獲得したわけであり、また、ピッチに入れば20歳だろうが、途中加入であろうが、生え抜きだろうが、日本代表だろうが全員が清水のプライドを背負って戦っている。

 例えば竹内は寡黙なキャプテンだが、負傷して退場してもおかしくない状態のなか、最後までチームの勝利のためにスルーパスを出し、ゴール前で守備をしていた。普通ならば試合後スタンドへの挨拶も回避するべきところを、雨、風が強いなか、応援に駆け付けてくれたサポーターへ先頭に立って頭を下げ感謝を表していた。それぞれの選手にそれぞれの特徴があり、それをお互いに生かしてチームとなるのではないだろうか。新戦力も加わり、新たな特徴を生かして巻き返しを期待する残り15試合だが、降格圏の17位湘南ベルマーレとの勝ち点差は「3」。毎年のことだが、チームもサポーターも一丸となって戦わなければいけない残り15試合となる。

下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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