「傑出していた」久保の輝き、英記者が“日本の生命線”と確信 「疑問が残る」点とは?

疑問を払拭できないCFの3人、日本を8強に導く役割を果たせるだろうか

 ファーストタッチは卓越していた。冷静に相手と対峙した後、ボールを左に持ち出し、GKロンウェン・ウィリアムズの周りにシュートを曲げるのに十分なスペースを確保したのは、まさに名人芸だった。

 久保はあらゆる部分でチームの中心にいた。このような評価を受けるのは当然だろう。しかし久保は、さらに自分がもっとやらなければいけないと感じながらピッチを後にしたに違いない。なぜなら、他の選手がやるべきことをやれていなかったからだ。

 この先、メキシコとフランスとの厳しいテストを控えている日本にとって、この試合は絶対に勝たなければならないものだった。勝利したことで森保一監督はひとまず満足しているだろうが、最後の笛が鳴るまで勝ち点3が保証されていなかったことを懸念しているはずだ。

 南アフリカは、森保監督が冨安健洋をメンバーから外したことに疑問符をつけるようなパフォーマンスではなかった。代わりに出場した板倉滉はキャプテンの吉田麻也の横で、ソリッドにプレーし、万能な代役であることを証明した。

 スペイン戦ではベンチスタートだった中山雄太、田中碧、三好康児の3人が先発で起用され、いずれもしっかりとした働きを見せた。森保監督はより困難なグループリーグの2試合を前に、チームマネジメントを考えてこのメンバーを選んだのだろう。

 しかし、やはりセンターフォワードのポジションには疑問が残る。林、前田、上田の3人は求められるフィジカル能力と得点のクオリティーを提供し、日本がノックアウトラウンドに進出するための重要な役割を果たすことができるだろうか。

 林は南アフリカ戦ではその可能性を感じさせなかったが、それは彼が大舞台での緊張に悩まされていたからかもしれない。開幕戦を終えたことで、これからの試合ですべてが上手くいき、日本は息を吹き返すことになるかもしれない。

 もしそれができなければ、3月以降の印象的なパフォーマンスから得られた希望や興奮、自信はすべて無に帰すことになる。日本は25日に、フランス相手に印象的なスタートを切ったメキシコとの対戦で、さらにステップアップする必要がある。

 南アフリカ戦に勝利したことで日本はアドバンテージを手にしたが、森保監督はチームに改善の必要があること、そしてそれを迅速に実行しなければならないことを知っているはずだ。久保がいつでも、チームを助けてくれるわけではないのだから。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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