日本サッカーの弱点を補う要素に? 欧州で40年前から起きる人種的多様性の波

ガーナ人の父と日本人の母を持つ浦和GK鈴木彩艶。幼少期から逸材として知られていた【写真:Getty Images】
ガーナ人の父と日本人の母を持つ浦和GK鈴木彩艶。幼少期から逸材として知られていた【写真:Getty Images】

【識者コラム】日本にも外国人を親に持つ人が増加、人種的多様性はサッカーでプラスに働く

 ジェフユナイテッド千葉のストライカーを3人並べて、「この中に1人だけブラジルから来た選手がいます。誰でしょう?」というクイズを出したとする。回答者がサッカーもジェフも知らない人なら、サウダーニャ、櫻川ソロモン、ブワニカ啓太の中で選ぶのは、おそらく後者2名のどちらかではないか。

 正解はサウダーニャなのだが、顔がリバプールのロベルト・フィルミーノにちょっと似ていて、なんとなく東洋的だから、たぶんブラジル人ではないと思われる。一番背が高いのは櫻川なので、「外国人=長身」というイメージだと彼がブラジル人だと思う人が多そうだ。櫻川とブワニカは日本人で日本育ちだから、話してしまえばすぐにバレてしまうが、黙っていれば見た目では分からない。

 日本にも外国人を親に持つ人々が増えてきた。一般的にもそうだが、サッカー界ではその割合はさらに高い。これはすでにヨーロッパでは30~40年前にあった現象で、日本もようやくそうなってきたわけだ。

 人種的な多様性はサッカーではプラスである。例えば、全員が身長175センチで右利きのチームより、身長の高低や速い、上手い、強い、右利きも左利きもいるといった特徴がバラバラの選手を揃えたチームのほうが、有利と考えていい。

 2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)で優勝したフランスは、まさに多様性のチームだった。黒人もいれば白人もいる。高い、速い、上手いなど特徴は見事にバラバラ。先発メンバーだけでなく、同じポジションのバックアップメンバーでも特徴が全然違っていた。小柄で俊敏、運動量抜群のエンゴロ・カンテに代わって出てくるボランチは、197センチのスティーブン・エンゾンジなのだ。頑健で空中戦に強いセンターフォワード(CF)のオリビエ・ジルーがいなければ、このポジションに全然タイプの違うアントワーヌ・グリーズマンが入ったりする。ジルーに似た二番手を用意するのではなく、それぞれ特徴の違う一番手ばかりを揃える編成だった。

 個々の特徴がバラバラなので、フランスに戦術的な統一感は薄い。誰がプレーしても同じように機能するわけではないからだ。その代わり、対応力は抜群だった。相手が高いボールで攻めてきても、ドリブルやパスでも、その都度対応できる。どういう試合展開になっても一定の強さを発揮した。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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