J2で白熱の「佐藤」対決 3人の同姓選手が躍動、ゲームを支配した東京Vパサーの閃き
東京V対山口に3人の「佐藤」が先発、いずれもゴールに絡む活躍
日本で一番多い名字といえば「佐藤」だが、Jリーガーで一番多いのは「鈴木」と「田中」でそれぞれ21人もいる。3位は「山田」の17人。「佐藤」はそれに次ぐ15人で4位と、母数の多さから考えれば振るわないのかもしれない。
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ただ10日の味の素スタジアムのピッチには、そのうち3人の佐藤が集合した。東京ヴェルディは優平、凌我。レノファ山口は謙介。加えて東京Vには久弥、山口にも健太郎がいるが、惜しいことにメンバー外だった。東京Vが3-1で逆転勝利したこの試合、3人の佐藤がそれぞれ活躍し、すべてのゴールに佐藤がからみ、佐藤の名を大いに高らしめた。
口火を切ったのは山口の謙介。中央大から2011年に横浜FCに加入し、昨季まで一つのクラブでプレーし続けた攻撃的ボランチは前半11分、高井和馬が獲得したCKのチャンスにキッカーを務めた。軽い助走から右足を振り抜くと、対空時間やや長めのボールは正確にファーで待つ小松蓮の頭を捉える。カバーに入った相手FW山下諒也がかき出すも、ゴールラインを割ったと判定され、山口がリードを奪った。
東京Vの永井秀樹監督は試合前、山口で最も警戒する選手として謙介の名前を上げていた。
「横浜FC時代から非常に良い選手だと思っていた。最終ラインに下りていってビルドアップの起点になっているし、そこからの正確なパスで攻撃のスイッチを入れてくる」
東京Vは守備時、凌我と優平が2トップとなり4-4-2のブロックを組むが、「(謙介は)中盤で一番ボールをさばく選手なので、凌我と話し合いながら」(優平)2人で上手く対応した。だが、当然ながらセットプレーの邪魔はできない。
もっとも謙介は横浜FC時代、セットプレーのキッカーを務める頻度はそう高くなかったし、本人もプレースキックにはあまり熱心ではなかった。しかし山口では「キッカーとしての序列で上位にいる」と渡辺晋監督は明言しており、キャンプから取り組ませて「大いに期待を寄せている」という。謙介自身も、横浜FCで手塚康平にポジションを奪われたことで、プレースキックがいかに選手にとって武器となるかを感じたのではないか。
ともあれこのゴールが、山口にとって今季初めてのセットプレーからの得点だった。謙介は「練習した通りの形、幸先の良いスタートが切れた」と語り、渡辺監督も「今日の試合で唯一のポジティブな要素」と称えた。つまり山口にとって、良い時間はそこで終わった。