サッカーは「ミスのゲーム」 CLラウンド16、バルサの“小さなミス”が最も深刻?

バルセロナのサッカーはウイングがこんなに深くまで戻る設計になっていない

 ホームでパリ・サンジェルマン(PSG)に1-4で敗れたバルセロナにもミスがあった。ミスの程度としてはライプツィヒやユベントスほど重くはないが、より深刻かもしれない。

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 キリアン・ムバッペの同点ゴール(1-1)に至る流れで、バルセロナの右ウイングを務めたウスマン・デンベレが戻り遅れていた。そしてPSGの逆転ゴールの時は、アントワーヌ・グリーズマンが裏をつかれている。どちらもウイングの守備に問題があったわけだ。だが、どちらも明確なミスとまでは言えない。特にグリーズマンのほうはアレッサンドロ・フロレンツィの飛び出しがオンサイドぎりぎりだったので、マークしきれなかったのは仕方がないところもあると思う。

 では、この小さなミスの何が深刻なのかというと、バルセロナのサッカーはウイングがこんなに深くまで戻る設計になっていないのだ。試合中に「ろくにポゼッションできていない!」とジェラール・ピケが毒づいていたという報道があったが、本質はどちらかというとそちらであって、ウイングの守備力は表面的な問題にすぎない。

 もちろん、引いた時はFWも戻らなければならないし、そこでの守備力は問われる。ただ、そこまでウイングが引いたらバルセロナの陣形はすでに崩されていて、だから攻撃に支障が出る。毎回のようにウイングが守備に戻ることも想定していない。攻撃が上手くいかないからFWが引かされ、FWが引くから攻撃が上手くいかないという悪循環だ。ポゼッションできることが前提になっているバルセロナにとって、それが上手くできないことが根本的な問題で、事態はかなり深刻と言える。

 もう1試合のセビージャ対ドルトムント(2-3)は、特にミス絡みの失点はなかった。4つの試合で0-0は1つもない。まあ、ミスのない0-0ばかりより、ミスはあってもゴールもあるサッカーで良かったのではないか。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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