日本人の「空気を読む」能力は武器になる ドイツで戦う“ホペイロ”、海外との違いを証言

ブンデスリーガ3部のドレスデンでホペイロを務める神原健太氏【写真:本人提供】
ブンデスリーガ3部のドレスデンでホペイロを務める神原健太氏【写真:本人提供】

【“ホペイロ”神原健太インタビュー|第3回】日本で培った人間観察力と気配りでチームをサポート

 単身ドイツに乗り込み、自分で自分を売り込み、3部リーグのイェーナに飛び込んだ神原健太は、今、東ドイツにおける名門クラブのドレスデン(3部)でホペイロとして活躍している。

 毎日のルーティーンは選手が練習で着た練習着を洗濯・乾燥して、次の日のために準備をする。試合に向けてユニフォームなどの用具をパッキングして、試合の日はロッカールームの準備をして、選手を受け入れて、終わったら片付けをする。選手のスパイクは、試合の後には試合に出た選手の分を全部きれいにし、練習時には希望する選手の手入れをする。

 神原自身、「正直誰でもできる仕事でもある」と語るホペイロの仕事だが、そのなかで“優れたホペイロ”と評価される要素はなんだろうか。ドイツ上部リーグでプレーしているクラブから獲得を打診されるのは、どんな能力が求められているからなのだろうか。

「ホペイロが選手とか監督に、『どうやったらこいつできるんだ?』って評価されるかなと考えた時に、選手や監督が何も言わなくても、やってほしいことをやってあげられるような、瞬発力とか先読みする力が、現場において違いを出すのかなと思います。だからいつでも、選手や監督の様子を観察しています」

 ドイツではホペイロが練習中に何か手伝うというのはあまりないそうだが、神原は様子を見ながらボール拾いをしたり、ウォーミングアップで使った用具を次の練習にいったら片付けるなど、かゆいところに手が届くようなサポートを心がけているという。

「今まで一緒にやってきた監督、コーチの皆さんは喜んでくれています。あと練習後に選手にロングボールを蹴ってくれと頼まれたりもするし、選手が練習終わった後に遊び半分にやっているリフティングに混ぜてもらったりもします。あとイェーナ時代はGKコーチが結構頼ってくれていて、試合時のウォーミングアップでセカンドGKがほったらかしにされている時は、一緒にボールを蹴ったりはしてました」

 日本で培った日頃からの人間観察力と気配りは武器になる。何かを探してうろうろしている選手に、すっとその選手が探しているものを手渡す。このあたり、日本においてはある意味で日常的に使われる「空気を読む」能力は、海外においては特殊能力として強みになることもある。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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