柏の“規格外FW”オルンガ、直面する「J1基準」の守備 技術&メンタル面で大化けなるか
【識者コラム】FC東京のコンパクトな守備に苦戦、3度のチャンスを決めきれず
Jリーグ開幕からだいぶ中断期間が長引いたが、2節連続して柏レイソルのホームゲームを取材した。
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北海道コンサドーレ札幌を迎えた開幕戦は、復帰したJ1での戦いを占うには格好の相手だったが、攻撃面での長所を遺憾なく発揮して4-2と快勝。ただし札幌は、あまりに無防備なパフォーマンスに終始したので、第2節のFC東京戦こそが本当の試金石と言えた。
結果的には、レフェリーのジャッジに伴い両チームの故障者の明暗などが微妙に影響したわけだが、アウェーのFC東京が戦術面で優位に立ち、1-0と僅差で制した試合となった。
柏はヒシャルジソンをアンカーに配した4-1-2-3。ただし、クリスティアーノが故障でメンバーから外れたことが影を落とした。
それに対しFC東京は、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ、アダイウトンがポジションチェンジを繰り返し、徹底して相手のアンカーに負荷をかけたので、ヒシャルジソンは開始7分にレアンドロの突破を止め切れずに1枚目の警告。さらに5分後にも後方からディエゴ・オリヴェイラの足をかけるファウルを冒しているので、柏はここで1人減っていてもおかしくなかった。結局ヒシャルジソンは後半15分に2度目の警告を受けて退場するのだが、前半のディエゴ・オリヴェイラへのファウルのほうが明らかに悪質で、逆にFC東京は序盤でエースストライカーを故障で失うことになったから「削られ損」の印象が残った。
最終的にはFC東京が、長谷川健太監督の読み通りに「ポイントになると思っていたセットプレー」で先制し逃げ切るわけだが、必ずしもFC東京が効果的に崩していたわけでも、相手に隙を与えていなかったわけでもなかった。逆にホームの柏は、1人減ってからも攻勢に出て何度かチャンスを演出したのだが、エースのオルンガが3度のチャンスを決めきれなかったのが響いた。うち2度は江坂任から絶好のクロスが来て、頭で叩いたが枠を外した。また後半には得意のカウンターから単独でゴールに迫ったが、猛烈な勢いでカバーに入る森重真人と追走する渡辺剛からプレッシャーを感じて、肝心なフィニッシュがミスキックになった。
加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。