久保建英、フィジカルの完成形 その鍵は“お尻”にあった!?…恩師が指摘「理想はメッシ」

久保建英、中井卓大らの専属トレーナーの木場克己氏【写真:荒川祐史】
久保建英、中井卓大らの専属トレーナーの木場克己氏【写真:荒川祐史】

逆足での強烈なシュートを支えるのは、トレーニング前の“腹式呼吸”

 もちろん、木場氏の指摘する“お尻の強化”の効果はドリブルだけにとどまらない。久保はリーグ中断前の第25節ベティス戦(3-3)、第27節エイバル戦(2-1)といずれも利き足とは逆の右足でゴールを決めており、特にベティス戦では強烈なシュートがGKの手も弾いてネットを揺らした。ここにも鍛錬の成果が現れていたと、木場氏が解説する。

「本当に力強さが出たと思います。フィジカルの強さは、彼の中でイメージ通りになってきたんじゃないでしょうか。シュートに入る前、わざと建英が頭を左にズラしたんですよね。そして(重心を)右膝に移動する時に、脇腹とお尻が瞬間的にクッと付いていって、そこからブレずにシュートコースを狙って打った。横の動きが速くなったと思います」

 そのために必要な筋肉を養うため、木場氏が常に重視してきたものが“腹式呼吸”だという。「体幹トレーニングの前には、必ず息をフーっと吐くところから始めます」と明かし、世界と渡り合うフィジカルにつながるメカニズムに言及した。

「骨盤の横、脇腹に付いている腹横筋という筋肉があります。腹式呼吸で息をフーっと吐くと、腹横筋が脊柱に引き寄せることができるので、骨盤をより安定させることができます。それができない選手は腹圧が掛かっていない状態なので、力が抜けてしまう。腹圧が高まっていると姿勢も良くなるから、足が前に出やすい。これが敏捷性につながります。お尻や脇腹の筋肉が大きくなると、お尻で踏ん張ることができます」

 習慣として身につけた腹式呼吸と筋肉の連動がバランス力を高め、軸のブレないドリブルや鋭く力のこもったキックにつながっていく。スペインの舞台で躍動を続ける久保の背景にある、地道かつ継続的な努力。そうした地道な努力を土台に、久保はこれからもまだまだ成長する姿を見せてくれそうだ。

[PROFILE]
木場 克己(こば・かつみ)

KOBA式体幹バランストレーニング協会代表。都内の「COREトレSTUDIO」運営。鍼灸師、柔道整復師。FC東京ヘッドトレーナー(95~02年)を経て独立。久保建英、中井卓大らの専属トレーナー。

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