「真のビッグクラブ」となるために ガンバ社長が語る新スタジアムの野望

欧州視察で得たスタジアム運営のヒント

――スタジアム建設に当たっては野呂社長もヨーロッパへと視察に足を運ばれました。本場のサッカー文化に接したこと、スタジアム建設や運営のヒントになったものも多かったとは思います。

野呂「ドイツもイングランドも、子どもの頃からサッカーをし、試合を見るのが当たり前の環境です。それが100年以上根付いているので、伝統ある名門クラブというのは、良い意味で”空気”のような存在になっている。そのクラブが中心となって社会が動いている感じがしました。スタジアムに関しても、商業施設がついたり、鉄道の駅がそのまま併設されていたり、企業のオフィスが入ったりとか、いわばスタジアムそのものが小さな街みたいなものになっている」

――ガンバ大阪もそうしていきたいと。

野呂「万博には自然庭園がある万博記念公園がそばにあって、自然環境とスポーツ機能が備わっています。そんなところに、三井不動産さんが大型エンターテインメント施設を持ち合わせたショッピングモールを開業されることになりました。偶然とはいえ、単なるショッピングモールの枠を超えた施設が、スタジアムの隣にできるわけです」

――三井不動産が開業する「エキスポシティ」は平日で4万人、週末だと6万人近くの来場が見込まれていると聞きます。野呂社長も以前、「その1%がスタジアムツアーなどに流れてくれれば」と話されていましたが、いろいろな集客プランが打てそうですね。

野呂「運も実力のうちです(笑)。三井不動産さんもアジアを重要なマーケットとして考えているようですが、私たちもアジア戦略は重視しています。大阪府の観光局はスポーツツーリズムに非常に熱を入れていて、5カ国語のパンフレットを作っているんです。大阪はご存じのとおり、LCC(ローコストキャリア/格安航空会社)が発着する関西国際空港がありますから、アジアからたくさん人が来ていますし、この3年で2倍、昨年は380万人と聞きました」

――アジアの観光客を呼び込むプランはありますか?

野呂「海外からの観光客は大阪城を見て、心斎橋を見て、USJに行くのが定番ルートです。大阪府として、これからはスポーツツーリズムをしようと、うちとセレッソ大阪、プロ野球の阪神タイガース、オリックス・バファローズというプロスポーツチームと協力して、ポスターを作って、アジア中にばらまいてくれています。特に、アジアの方はサッカーが大好きですからね。今までなら万博記念競技場のキャパシティーが2万人なので、せっかく集客をしても入れない可能性がありましたが、それが4万人のキャパシティーだと、4000人ぐらいを団体客の方々に回すことも可能になってきます」

 

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